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日本ヒューレット・パッカード 取締役 副社長執行役員 石積 尚幸氏
日本ヒューレット・パッカード
取締役 副社長執行役員
石積 尚幸氏

 当社が抱えている課題に対し、どのようにITツールを活用し、ビジネスの拡大に役立てているか。そのためにどんなロードマップを実現してきたか。そして、そこから導き出されるポートフォリオについて述べる。

 これまで、ITシステムは垂直型のインフラ部分に大きなコストがかけられてきた。それを、インフラ部分、運用管理部分、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づくアプリケーション共通部分に分け、水平統合基盤を作ることで、タイムリーにアプリケーションを作っていけるようにしようという変化が起きている。情報システム部門が直面しているテーマは、水平型の統合基盤へどのように移行するかだ。


実務アプリを作るには運用コスト削減が必要

 IDCジャパンによると日本のIT投資の成長率は1.8%である。一方で、CEOの99%は企業経営にITが不可欠だと認識している。ところが、ITがビジネス成果に連動していると考えているCEOは43%に過ぎない。

 限られたIT予算の65%が、単にITを動かす運用に使われているのが現状だ。運用コストは労働力+設備コストである。サーバーが増えるに従い、オペレーターと電力・空調のコストが増加する。ビジネスを支援するアプリケーションを作るためには、全体のIT予算が増えない中で、運用コストを減らすことが必要になる。

 ビジネスを支援するアプリケーションのための資金をどのようにひねり出し、どこに投資し、早く品質のいいシステムを開発していくか。それを示したのがのポートフォリオである。一番下に、基本的なITを構成するサーバーとストレージ、サービス、ソフトウエアがある。その上の「AdaptiveInfrastructure」は、仮想化と自動化を担う。それによって運用コストを削減していく。

 一番上の「Business InformationOptimization」は、業務を可視化するデータウエアハウスのソリューションである。ここで、どの顧客とのビジネスが利益を生み出しているかを可視化する仕組みを作る。

 注力分野が決まったら、真ん中の「Business Technology Optimization」というレイヤーで、SOAに基づくアプリケーション開発を行う。ここには運用を支援する要素も含まれる。当社はこのポートフォリオで示した製品やサービスを持っている。

データセンター集約で年間1800億円を削減

 このポートフォリオで示したのは、当社が実際に体験し、チャレンジしていることである。178カ国で15万人の従業員が働いている。拠点数は963、ビルの数は1348、デスクトップ・パソコンは20万台に及ぶ。世界85カ所に所有していたデータセンターは、米国内の3カ所6センターに集約している。それによって、年間1800億円のコスト削減を計画している。コスト、レスポンス、安全性を分析して、米国に集約したと聞いている。

 データセンターの運用コストで大きいのは電気代だ。データセンター内の熱の分布をアセスメントして、効率的にクーリングする技術を自社開発している。それにより電気代を30~40%節約している。

 ポートフォリオの最上位にある、どのように利益を生み出す領域を見つけるかに関しては現在、超並列コンピュータを利用したエンタープライズ・データウエアハウス・マシンを導入して、700以上あるデータウエアハウスを1つに統合しているところだ。従来のデータウエアハウスのユーザー数は250人程度だったが、新システムでは5万人の社員がタイムリーにデータを利用できるようになる。

強固な企業文化が社員の力を高める

 最後に、ITを使う社員の社員力を高めるための活動に触れたい。ITを使ってビジネスを行っていくには、強固な企業文化が必要だ。社内では「100年もつ会社にするにはどうしたらいいか」を議論している。

 100年存続する会社は、確固たる倫理観を持ち、その上で変化に対応できる文化を持っている。当社は(1)世界中のHP社員が持つDNAであるHPWay、(2)「妥協なき誠実さ」に代表される企業の倫理観であるスタンダード・オブ・ビジネスコンダクト(行動規範)、(3)「期待のその先へ」という日本HPのビジョンをべースに、各人がITを活用している。共同作業の支援ツールとしては、高精細でリアルタイム性が高くアイ・コンタクトができる映像コミュニケーション・ツール「Halo」を開発している。

 今まで、ITは一部の専門家のためのものだったかもしれない。しかし、これからはITがビジネスに直結して仕事をするために不可欠なものとなる。社員の力と最新のテクノロジーによって、顧客がITをビジネスに直結させるための支援をしていきたい。