PR

アビームコンサルティング 執行役員 グローバルアカウント統括 岩澤 俊典氏
アビームコンサルティング
執行役員 グローバルアカウント統括
岩澤 俊典氏

 日本企業は今、経営の見える化をグローバルで実現させようとしている。グローバリゼーションと企業価値向上が大きなテーマになっているからで、そこに欠かせないのが標準化である。

 ここで言う標準化は決してITだけのことではない。業務の標準化に加えて、KPI(重要業績評価指標)や仕組み、ルール、プロセスを合わせて標準化し、展開していくことだ。


標準化の対象は「4つ+1」

 標準化でまず取り組むのはKPIになる。次にビジネスのポリシーとルールを決め、そしてプロセスの標準化に着手する。最後がコードの統一になる。コードの統一を先に始めると、時間が非常にかかることがある。ここが標準化で注意するべき点である。

 こうした標準化を終えたところで、初めてシステムをどう構築するかを検討することになる。SAPやオラクルなどのERPソフトを使うのか、手作りにするのか、あるいはその組み合わせでいくのか、ということだ。システム構築の議論は最後で構わないが、これを含めた「4つ+1」の標準化を推進することが大きなポイントだ。

[画像のクリックで拡大表示]

グローバル展開の基本原則

 プロセスとシステムが出来上がり、それを海外に展開する場合、アプローチの仕方によって標準化が乱れることがある。つまり、「ローカルチームが主体となって標準化を導入」「標準化の維持=ローカル化の牽制」という2つの相反する原則を両立させる組織をつくる必要があるということだ。

 「ローカルチームが主体となって標準化を導入」するにはどうすべきか。ローカルの人たちにヘッドクオーターの日本側の仕組みをトレーニングし、「これを使ってください」と言っても、使いこなすところまではいかない。標準化の仕組みは、日本のポリシーに従っており、彼らにとって使い勝手が悪い場合があるからだ。そこで、ローカルのトップがローカルチームのトップにつき、各国ごとにプロジェクトマネジャーを配置して、その下に業務チームを置くという組織にする。グローバル展開における標準化のキーを3つ挙げたいと思うが、これがその1つめだ。

 ただし、ローカル化を牽制しないと、標準化は必ず乱れてくる。ローカルの人たちが勝手にエンハンスメントをしないように、日本側にセンター・オブ・エクセレンスと呼ぶ組織をつくっておく。これが2つめのキーだ。

 各国からはさまざまな改善要求が上がってくる。それを1つひとつ、認めるのか認めないのか、センター・オブ・エクセレンスが判断、承認する。もちろん、要求を盛り込む場合、日本側でその機能をつくる。現地側にいる人間は、現地の人たちと良好な関係でいなければならず、そこに妥協が生じる恐れがあるからだ。日本側は、それを阻止しなければいけない。この相反する感情は組織をつくることによって回避できる。

 こうした海外要件を取り込もうとすると、標準化の混乱を招くことがある。そのため、海外要件は標準テンプレートを開発する時には、ほとんど意識しない方がいい。ローカル要件には、顧客の要件と国々のローカル要件・法的要件の2つある。業種によってはサプライヤーの要件もあるが、これら3つは最初の段階では切り捨てて構わない。

運用体制と方法の確立

 標準化の導入に最も重要なのが、キーの3つめ「導入後の維持運用体制と方法の確立(オペレーションエクセレンス)」である。標準維持のため、導入後の組織をつくっておく必要があるということだ。

 オペレーションエクセレンスには2種類ある。1つはアプリケーションをメンテナンスするチーム。各国からの要求を一元管理することで、これを実現しないと半年後、1年後に標準を混乱させる可能性がある。もう1つが、オペレーションエクセレンス(業務側)としての標準維持活動を行うチームである。常に業務の標準化を維持できているのかを監視するチームで、業務定着化に大きな役割を担う。

 この業務の定着化には2段階ある。第一段階では、データの誤入力やマスターメンテナンスのなおざりなどを監視し、継続的にデータ精度を保持する。その上で、在庫を減らす、サービス効率を上げるなど業務の質的な向上を図る第二段階に移る。このように標準化の仕組みを導入した上で、データ精度を維持することが、経営トップが情報システム部門や情報システム子会社に期待を寄せるところだ。

 データがどれだけ正確なのか、どれだけ経営者に対して精度の高いデータを提供できるか、それをどう担保するのかが、今後の情報システムの大きなテーマだからだ。