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NEC 代表取締役 執行役員社長 矢野 薫氏
NEC
代表取締役 執行役員社長
矢野 薫氏

 NECはITやネットワークを提供するベンダーであると同時に、社内革新を進めるツールとしてIT・ネットワークを活用している。そこで当社の事例を紹介し、今後の社会変化を展望してみたい。

 ユビキタス社会が本格的に到来し、消費者の生活スタイルやコミュニケーションに変化が生じている。企業間・企業内のプロセスやワークスタイルも例外ではない。このような時代には、IT・ネットワークを効率化・経費削減といった「守り」のツールから、売り上げを伸ばす「攻め」の経営ツールとして利用し、ビジネスを革新することが求められる。


バリューチェーンを一体化したプロセス革新

 ビジネス革新を、(1)企業間・企業内プロセスをリアルタイム化、見える化する「プロセスの革新」、(2)顧客サービスを創造する「消費者接点の革新」、(3)場所や組織を超えた働き方を実現する「ワークスタイルの革新」、の3つの視点から考える。

 最初にプロセス革新の事例としてNECワイヤレスネットワークスの取り組みを見てみる。同社は携帯電話の基地局間通信に使われる超小型マイクロ波通信装置「パソリンク」を主力商品としている。グローバルシェアは2000年度4.9%で第8位だったが、07年度第1四半期には26.3%とトップに迫るまでに急成長した。生産現場の革新だけでなく、バリューチェーンを一体化した「ものづくり革新」を推進し、一人当たりの生産性を10倍以上、受注から出荷までの期間を1カ月半から2週間に短縮した。

 課題は1000種類にも及ぶパソリンク商品を1つのラインでいかに効率的に生産するかにあった。まず、計画に基づいて部品を調達・生産する「計画主導型」から、サプライヤと連携して売れた分だけ調達・生産する「かんばん方式」へと転換した。次のフェーズで生産ラインにRFIDを搭載する「指示かんばん」を導入した。RFIDにより商品ごとのデータ入力作業を無くしたほか、組み立て指示や検査仕様の設定を自動化。生産性は月産数千台から2万5000台(07年6月)へ大幅に向上した。さらに開発部隊を巻き込んだ改革により、04年度の不具合率を20分の1以下にした。

変化に対応するワークスタイルを実践

 ワークスタイル革新の事例としてNECブロードバンドソリューションセンターがある。オフィス環境は、メールの普及による会話の不足、横断的なプロジェクトの増加による柔軟な働き方の定着、情報漏洩リスクの拡大など大きな変化が生じている。

 同センターではこれに対応し、フリーアドレスや「どこでもオフィス」、Web会議の導入など次世代のワークスタイルを実践した。通常、フリーアドレスは誰がどこにいるか分からず、メールを多用しがちだが、プレゼンス管理システムにより社員の所在や状況を「見える化」した。そのため対面コミュニケーションは以前より増加した。

 また、携帯電話によるスケジュール管理や電子承認、社員2000人を対象に自宅で社内の業務ツールを利用できるテレワーク環境を整備するなど「どこでもオフィス」を実現した。情報漏洩対策としてはペーパーレスを徹底。IT機器の暗号化や紙を使わない会議などを実践した。その結果、コピー量66%、会議に要する時間45%を削減し、営業マンの顧客対面時間を40%増加させた。

受け身のサポートから攻めのサポートへ

 消費者接点の革新については当社の121コンタクトセンターがある。同センターは『日経パソコン』誌の調査で、顧客満足度ナンバーワンを3回連続で獲得。2000年の7位を、社内革新により04年に1位に押し上げた。

 具体的には、電話のつながりやすさを追求し、オペレータ稼働状況の見える化や登録会員優先着信、Webによるコールバック予約などを実施した。リモートサポートの提供により問題解決の迅速化を図った。今後の課題は、「受け身のサポート」からトラブルを未然に防止する「攻めのサポート」へと転換することにある。

 これからのITとネットワークの方向性であるが、間もなく次世代ネットワーク(NGN)がスタートする。NGNの特徴は、ネットワークインフラとサービスプラットフォームの二層構造であり、サービスプラットフォームによって認証や課金といった共通の基盤が提供されることだ。企業はより早く、簡単に新しいサービスを創造できる。

 当社でもNGNトライアルに参画し、テレビで映像配信や電話、Webサイトの閲覧ができる高品位トリプルプレイサービスを実証中だ。NGNはビジネス革新を加速し、これまでとは違うプロセス、コラボレーション、消費者接点の活動を創出するだろう。まさに「企業」「お客様」「従業員」の三者が連携して価値を作り出すダイナミックコラボレーションの時代が到来すると考えている。