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野村総合研究所 代表取締役社長 藤沼 彰久氏
野村総合研究所
代表取締役社長
藤沼 彰久氏

 経営環境の変化に対応して、ITをどのように導入し、どのように使っていくか。これは、企業にとって極めて重要な課題の1つである。

 「ナビゲーション&ソリューション」を掲げる当社は、企業に変化を促す3つのドライビングフォースである(1)「生活者の変化」、(2)「社会・産業の変化」、(3)「情報技術の変化」について常にウォッチし、今後の変化の予測からビジネスの実行支援まで、先を見据えた視点で企業経営の発展を支援している。


情報の使いこなしで,生活者の2極化が進む

 「生活者の変化」は、3年ごとに面接方式による1万人アンケートを実施してつかんでいる。

 1997年から2006年までの計4回の調査で際立った変化を3つ挙げると、インターネット利用率は97年の2.6%が06年は49.8%となり、パソコンの普及率は、97年の26.1%に対し06年は70.2%、デジタルカメラは97年の3.1%が06年は56.4%と、インターネット化とデジタル化が進んだ。

 その結果、生活者が情報を入手しやすくなった。06年は、「よく検討してから買う」「情報を集めてから買う」「使っている人の評判が気になる」という人が増えている。

 消費態度を、先進層、追従層、大衆層、無関心層に分けると、先進層は、豊富な情報を使って自分で考え、こだわり消費を進めている。一方、追従層、大衆層は、03年から06年に大きく変化し、周りを気にするようになった。情報を自由に取り込めるようになったものの、その情報をどう評価するか迷っているのではないか。

 ブロードバンドの普及が進み、マスメディアに加えて、口コミ、インターネット(ブログ、SNSなど)の影響力が拡大した結果、生活者は少数のイノベーターと多数のフォロワーに分かれてきたようだ。

規制緩和を事業機会に,ITは現在と5年後を見る

 2番目の「社会・産業の変化」では、さまざまな規制緩和が進展している。85年のNTT民営化に始まる規制緩和で、通信市場は様変わりした。96年の金融ビッグバンで金融界・証券市場も変わった。電力も2000年から自由化が始まっている。これからは医療、農業、社会保障の分野で規制緩和が進むだろう。

 今後の規制緩和の例として、金融分野では2008年にネッティング(差額決済)が可能になり、医療分野では同じく2008年に大病院のレセプト(診療報酬明細書)電子化がある。情報・通信分野では、ワンセグ専用放送の解禁や、WiMAX高速無線サービスが計画されている。こうした規制緩和の中で、企業は事業機会を創出していく必要がある。

 「情報技術の変化」については、当社は2つの見方をしている。1つは、技術分野ごとの現在の要素技術を成熟度に応じて位置付けた「情報技術マップ」。もう1つは、外部環境の変化を予測して5年先を見据えた「ITロードマップ」であり、例えばWeb2.0時代のモバイル活用や仮想世界を取り上げている。

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環境の変化はチャンス,早めにITで手を打つ

 では、企業は変化にどう対応すべきか。リテール経済圏で見ると、東名阪福の大都市圏と地方圏は拮抗する市場となっている。2400万世帯の前者は153兆円、2200万世帯の後者は137兆円である。金融サービスから見ると、似たようなマーケットが2つあることになる。こういうマーケットに対し、代理店制度などの規制緩和を生かしながら、顧客接点を増やすための新しいチャネルの開拓や、新しい商品の開発をサポートしていく。

 政府のIT戦略本部が重点分野のトップに挙げた「医療の構造改革」でも、ITによる生産性の向上を進める。

 医療・ヘルスケアの分野では、医薬品会社の国際競争力アップと「ドラッグラグ(新薬承認までの内外時間格差)」の解消、さらに少子・高齢化に対応した自己医療(セルフメディケーション)を推進するための病院・薬局・保険組合などのリテール業界の改革が課題となっている。これらを解決し生産性を引き上げるには、システムや情報の分断を改善することがポイントになると考えている。

 最後に、当社が毎年実施しているユーザー企業のCIOに対するアンケート調査について触れておく。本調査によると、新たな事業・サービスの創造支援より、業務プロセスの標準化・効率化をIT活用のテーマとして重視する傾向が強くなってきている。

 CIOの多くが目の前の課題に追われて余裕がない上、ITの戦略的活用を考える人材も不足していることが原因と考えられる。この状況の打開へ向けて、当社は特に人材面を中心に協力・支援を行っていきたい。環境の変化に早めに手を打ち、一緒に企業を元気にしていきたい。