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たくさんのソリューションプロバイダが営業攻勢をかけ、顧客の机に山のように積まれた提案書。この中に埋没してしまうと、受注は難しくなる。こうした事態を防ぐにはどのような点に留意すればよいのか。今回は、顧客の目に留まる提案書を作成するコツを探った。

 営業担当者にとって、提案書は極めて重要な書類です。プレゼンテーションは提案書に沿って進められますし、プレゼンテーションに参加されなかったお客様は提案書を読んで「このソリューションプロバイダに仕事を任せても大丈夫かどうか」を判断します。

 受注の結果を大きく左右する提案書ですから、営業担当者は心血を注いで提案書を作成しています。しかし、プレゼンテーションを引き立てるような提案書や、面識がないお客様から信頼感を得ることができるような提案書となると、意外と少ないように思います。

 では、どうすれば営業活動に効果的な提案書を作成できるのか。会員情報を全店で共有化する必要性を認識している美容サロンチェーンの運営会社をモデルケースに考えてみましょう。おそらく、図1のような構成で作成した提案書が多いでしょう。

図1●改善前の提案書
図1●改善前の提案書
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提案書にも起承転結が不可欠

 この提案書では課題を指摘したうえで、その対策を示しています。提案営業とは、お客様が抱える問題点を抽出し、その解決策を提示することだといわれています。デザインの良しあしは別として、この提案書はその条件を満たしています。しかし、私ならこの提案書をお客様に渡しません。というのも、この提案書にはストーリーがないからです。文章を書く時や話す時には「起承転結」に沿うようにと教えられてきましたが、同じように提案書にも“流れ”が大切です。

 提案書に流れがないと、プレゼンテーションに出席したお客様の大半は間違いなく退屈するでしょう。途中でうつらうつらしてしまうお客様が出てくるかもしれません。一方、プレゼンテーションに参加しなかったお客様は一瞥しただけで机の片隅に置き、二度と読まないでしょう。肝心の提案内容はお客様に伝わりません。

 図2は、私ならこうするという提案書の見本です。2ページ目は提案書の目次で、第1章に当たる3ページ目に当社が提案するシステムの概要を示します。第2章に当たる4ページから9ページにかけてお客様の業務の流れを、第3章に当たる10ページから15ページにかけて業務プロセスをもとに開発すべき情報システムをそれぞれ紹介します。第4章に当たる16ページから27ページにかけては開発予定期間や開発担当者のプロフィール、費用など開発に関連する様々なデータを掲載します。そして、28ページに当社の紹介を掲載し、最後は私のモットーであるSuccess requires Passion(成功するには情熱が必要だ)で締めます。

図2●改善後の提案書
図2●改善後の提案書
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 冒頭で提案書の全体の流れと、結論(当社が薦める情報システム)をはっきり示したのは、提案書の中身をお客様に的確につかんでいただくためです。冒頭で企画の背景や市場データなどをだらだら説明すると、ほとんどの場合、お客様は退屈してしまい、あとのページに興味を示しません。そうなると、肝心のところが伝わらなくなってしまいます。

 同じ理由から、第2章でも業務プロセスの全体図を最初に提示した後で細部を示しています。第3章でも、全体像を示すサイトマップを最初に掲載したのも分かりやすくするためです。

 提案書には話の流れが大切というのが私の基本的な考えですが、「図2の提案書には顧客が抱えている課題とその解決策が示されていないではないか」という疑問を持たれた方もいると思います。

 確かに私の提案書には課題と対策をはっきり示していません。なぜかといえば、このお客様が自社が抱えている課題をはっきり把握し、その解決策として情報システムの再構築の必要性を認識しているからです。

 もしお客様が課題を認識できず、解決策をお持ちでないのなら、現状を分析する章と、解決案を示す章は不可欠でしょう。しかし、課題と情報システムの更新の必要性を認識しているこのお客様にとって、最大の関心事はどのようなシステムを導入すれば課題を確実に解決できるかということではないでしょうか。

 提案書を作成する前、どのような情報をお客様は最もほしがっているのか自問自答してみましょう。そうすることで、お客様にとって最大の関心事が分かります。次にそれをストレートに伝わるように流れを考えます。これが提案書を作成する時の基本姿勢です。

串戸 一浩 アイル ソリューション本部長
専門商社で海外向けマーケティング業務を担当。97年4月に中堅ソフト会社に転職し、大手鉄道会社や流通会社などにソリューションを提案、そのうち9割近くを受注。現在、アイルで人材開発ソリューションに注力