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 佐々木先輩の説明を一通り聞いた新米の宮本君。五つのレイヤーの理解が少し深まったようだ。

 しかし,佐々木先輩が言うように,レイヤーの考え方を身につけると本当にネットワーク技術の勉強がはかどったり,トラブル・シューティングに強くなるのだろうか。

通信の流れがスッキリ見えるようになりました

先輩:少しはレイヤー構造の考え方と,それぞれのレイヤーの役割が見えてきたかな?

新米:はい。通信って複雑に見えていましたけど,その機能を五つに絞れば気持ちがラクになりますね。

 でも,このレイヤーの考え方を,実際の勉強や実践にどうやって生かしたらいいんでしょうか?

先輩:じゃあ,今まで見てきたWebアクセスの流れをレイヤー構造に当てはめて,その効果を見てみよう(図3-1)。

新米:ネットワーク上にある機器がレイヤー構造で表されています。

図3-1●Webアクセスの流れをレイヤーで見てみよう
図3-1●Webアクセスの流れをレイヤーで見てみよう
レイヤーによって処理の流れが見える。また,どの機器同士が同じプロトコルで会話しているのかという関係もわかる。 [画像のクリックで拡大表示]

先輩:そうだな。まず,実線の矢印に注目してごらん。これがデータを処理する流れだ。

新米:どのような処理を経てデータが渡っていくのかが一目瞭然ですね。通信の全体像がよくわかります。

先輩:そして,もう一つ注目してほしいのが点線の部分だ。

新米:それぞれの機器のレイヤーを左右につないでいます。

先輩:これがプロトコルだよ。隣り合う機器のプロトコルはすべて同じになっているところがポイントだ。

新米:本当だ。通信のしくみがスッキリとわかります。

 図を見てみると,10BASE-Tは,パソコンとLANスイッチをつなぐ場面に使われる技術というのがわかる。それに対してHTTPは,パソコンとサーバー同士で使うプロトコルというわけだ。

 ネットワークを理解するためには,たくさんの規格やプロトコルを勉強することになる。しかし,まるで知らないプロトコルでも,どのレイヤーのものかを確かめるだけで,通信の中での位置づけがわかる。

新プロトコルの勉強やトラブル解決にも役立つ

先輩:トラブルの現場で,この流れが頭に浮かべられれば,トラブル・シューティングもバッチリだ。

新米:でも実践では,ネットワークの構成を把握するのは難しいし,きっと使われているプロトコルもいろいろだと思います。大丈夫ですか?

先輩:大丈夫だよ。トラブル対策にpingピングを使ったことはあるかい?

新米:ええ,あります。でも,結局何が悪いのかわからなかったんです。

先輩:pingは,IPパケットがあて先マシンまで届くかを調べるコマンドなんだ。つまり,レイヤー3を調べていることになる。

新米:そうか。もしパケットがあて先まで届いたら,レイヤー3までは問題なくて,トラブルの原因はアプリケーションに近いレイヤー4から5の部分にあるということか。

先輩:もしパケットが届かなかったとしたら,トラブルの起こったパソコンから,レイヤー1から3の部分を調べていけばいいんだよ。

新米:なるほど。

先輩:それから,レイヤー3スイッチが普通のLANスイッチと違う部分もわかるぞ。

新米:レイヤー3スイッチは,レイヤー2の機能だけでなくレイヤー3の機能も持っているんですよね。

先輩:そうだ。レイヤー3の通信をするためには,レイヤー2のしくみを利用する必要があったよね。つまり,レイヤー3スイッチは,自身にMACアドレスを持っているんだ。だから,自分あてに送られてきたMACフレームを判断して,その上のレイヤー3の処理ができるんだよ。

新米:ということは,普通のLANスイッチは,MACアドレスを持っていなくてもいいんですか。

先輩:そうだよ。あと,SNMPを使った管理機能を持つLANスイッチもレイヤー3のしくみを持っている。SNMPというのは,IPとUDPの上で動作する第5層のプロトコルなんだ。当然,レイヤー3のしくみが欠かせないので,これらもMACアドレスを持っているんだ。

新米:なるほど,そうだったのか。レイヤー構造がわかると,ほかにもいろいろと理解が深まりそうです。先輩,ありがとうございました。