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利用者参加型を特徴とするWeb2.0の考えを取り入れた、新IT型ともいうべき健康ビジネスが広がっている。ICタグやGPS、デジタルカメラなどの情報をネット経由で収集することで、個別の利用者の状態に応じたきめ細かな管理を実現する。2008年度に、いわゆる“メタボリック”対策の医療制度改革が始まるのも追い風だ。

 フィットネス・クラブで運動した結果を機械が自動的に記録し、自らの健康管理に反映する。自分のペースで好きなだけジョギングすると、地図上で実際にどのくらいの距離を走ったのかをパソコンの画面へ即座に表示。たった1枚のデジタル画像から、カロリーや栄養バランスを分析し食生活の改善点をアドバイスする―。

 これらはすべて今日本で受けることができるサービスだ。一昔前ならSFの世界でしか不可能だったことが、ICタグやGPS、ブロードバンドの進展によって可能になった。

 健康増進には日々の積み重ねが重要だが、単調な運動や食事の管理が継続できず、おろそかになっている人も少なくない。ITを活用した健康ビジネスは、こういった悩みを解決する切り札となり得る。運動履歴を“見える化”することで達成感を高めたり、ネットワーク越しの双方向型コミュニケーションによってやる気が継続できるからだ。

 スポーツや関連食品などを含めた国内の“健康”市場の規模は5兆円を超す。この巨大市場の攻略に向け、さまざまな企業がITを活用した健康ビジネスに取り組んでいる。

コナミスポーツ&ライフ
ICタグで運動履歴を一元管理

 国内フィットネス・クラブ最大手のコナミスポーツ&ライフ(コナミS&L)は、1個のリストバンドを身につけるだけで、運動履歴を記録できるIT健康管理システム「e-エグザス」の展開を進めている(図1)。

図1●コナミスポーツ&ライフが展開するIT健康管理システム「e-エグザス」
図1●コナミスポーツ&ライフが展開するIT健康管理システム「e-エグザス」
全国57施設にあるスポーツクラブ内のフィットネスマシンなどにICタグ・リーダーを付け、会員を識別。機器の利用データを一元管理することで、利用者のサービス向上を目指す

 コナミS&Lの大石利光社長は「e-エグザスを利用するには個人認証鍵のリストバンドを身につければよい。それをかざすだけで、ロッカーからフィットネスマシンなどが利用者を特定して、運動履歴を蓄積していく」と話す。

 2007年7月時点で、全国で208カ所に展開するフィットネスクラブのうち、57の施設でe-エグザスを利用できる。対応するフィットネス機器の合計は3000台を超す。e-エグザスは同社の会員なら無料で利用でき、サービスを開始した03年4月以降、すでに約25万人が会員となっているという。

 e-エグザスのカギとなるリストバンドは内部にICタグを備えている。フィットネス機器や体組成計などに組み込んだICタグ・リーダーが読み取り利用者を認識する。そして、ICタグの情報に基づいて利用者がそのマシンでどのくらい運動したのかといった履歴データを記録し、サーバーで一元管理。運動履歴だけでなく、体重や体脂肪、新陳代謝などの情報も管理している。

 加えて、施設内にある端末を通じて、運動履歴のほか、次にどういった運動をすればいいのか、といった情報を得ることも可能だ。大石社長は「本人のモチベーション向上につながり、顧客サービスの一環となる」と語る。

 「機器をネットワーク化すると、稼働時間や稼働率、メンテナンス時期なども正確に把握できる。これらの情報は当社にとっての宝の山。ITの活用で健康管理ビジネスは抜本的に変わった」と大石社長は説明する。

オープンソースで独自開発

 e-エグザスに対応した施設にはサーバーを設置し、各施設内のフィットネス機器をLANで束ねる。施設のサーバーは、グループ企業であるコナミのデータセンターにあるサーバーと同期させている。e-エグザスの利用者は、専用のWebサイトでも自分の運動履歴を確認できる。

 システムは「サーバーの選定からデータベースの構築、アプリケーションの開発、ネットワークなどすべてを、コナミS&Lの機器開発部門とコナミ本体の情報システム部門が協力して自社開発した」(コナミS&Lの寺尾晋 商品開発本部フィットネス機器開発部プロデューサー)という。

 さらにOSにFreeBSD、データベースにPosgreSQLなどのオープンソース・ソフトを積極的に利用した。システムを共同で開発したコナミはゲーム会社である。ゲーム会社の開発部隊はシステムを自社内で作ろうという気質が強いことが理由だという。

 今後の展開について、大石社長は「フィットネスクラブにとどまらず家庭向けの機器やサービスの開発を強めたい」と話す。すでに歩数計や体組成計、バイクなどの家庭用機器をe-エグザスに対応させている。