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ネットを利用した新たな健康ビジネスは何も運動を支援するものばかりではない。遠隔地から専門家がその内容を診断し、より健康な食事を実現させるビジネスも登場している。

旭化成
デジタル画像分析し食事を改善

 旭化成の「げんき!食卓」は、デジタルカメラや携帯電話カメラで自分の食事を撮影してネットで送信し、写真を見た管理栄養士がカロリーや栄養バランスなどを評価し、アドバイスなどを付け加えて結果を戻すものである(図1)。適正な食事の管理を通じたIT活用型の健康ビジネスといえる。

図1●旭化成は特定健康指導業務を受託するために「食事」の指導からサービスを開始
図1●旭化成は特定健康指導業務を受託するために「食事」の指導からサービスを開始
旭化成の食事診断サービス「げんき!食卓」は、デジカメで撮影した食事の画像からアドバイスを与える
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 げんき!食卓の利用者は、すべての食事を事前に撮影する。デジタル画像のデータは専用のWebサーバーから送信する。このデータを受け取った管理栄養士が、写真から食事の総カロリー数や栄養素のバランスなどを分析。受信した食事の評価に加え、適切なアドバイスをまとめた文書を送信する。旭化成は「すでに累計で16万食もの食事を写真から分析した。使ったひき肉は豚肉なのか、牛肉なのかなど最低限の情報が分かれば、栄養素の組み合わせなどを計算できる」(藤倉欣也ライフサポートビジネス推進部健康グループ医療事業担当課長)。

 げんき!食卓に協力する管理栄養士が全国に50人ほど。全員が在宅勤務者で、旭化成からの依頼を受け分析・アドバイスを担当する。

 もちろん単に写真を見るだけでカロリーを計算するのは簡単ではない。旭化成の場合は、食卓の上に専用の定規を置き、これを含めて食事を撮影することで問題を解決している。

 管理栄養士は、定規の見え方から食事のボリュームを判定する。横幅だけでなく奥行きや高さなども定規の見え方から推測して、食事量を算出する。さらに写真は「食事前」「食事後」「おかわり」という3段階に分けて撮影する。

 藤倉課長によれば、それでも「写真から得られる情報量は少ないので、食事量は10%前後の誤差、栄養素分析も事前の情報が少ないとばらつくこともある。継続的な検討課題として認識している」という。

 05年6月に旭化成が有料でこのサービスを開始して以来、20団体の健康保険組合、100施設の医療機関、20の自治体、5社のフィットネスクラブなどと契約している。2000年5月、情報処理振興事業協会(IPA)から委託を受けて開発を開始し、02年に旭化成の健保で採用してノウハウを蓄積してきた。旭化成はインターネットを活用した新規ビジネスの一つの柱として、10年には年間10億円の売り上げを目指す。

メタボリック対策も追い風に

 現在、ITを活用した健康ビジネスの追い風となっているのが、厚生労働省が掲げる医療制度改革関連法の一環として、08年度から義務化するメタボリック・シンドローム対策である。日本投資銀行の試算によれば、これにより最大で2800億円の新市場が誕生する。

 この対策では、医療制度改革関連法の「特定健康診査(特定健診)」と「特定保健指導」を実施するため、社員の健康管理に企業は積極的にかかわらざるを得なくなる。対象となるのは40歳~74歳までの5700万人の男女だ。

 所属している企業の健保や国民健康保険組合などを主体として、メタボリック予備軍を洗い出し、適切な保健指導を実施させ、生活習慣病を予防するのが狙いだ。健保などには目標達成責任が問われ、達成できなかった場合は「後期高齢者医療支援金」を減額させられるというペナルティを与えられる可能性もある。