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 LANの役割は,パソコンから送り出されたIPパケットをユーザー宅の出口まで送り届けることである。

 LANで使われる伝送技術,イーサネットはすべてのデータをMACフレームに載せてやりとりする。LAN上でIPパケットを運ぶためには,IPパケットをMACフレームに載せる必要がある。

パソコンを束ねるLANスイッチ

 図2-1は,ユーザー宅内にあるLANの構成例である。

図2-1●LAN内ではMACフレームがIPパケットを運ぶ
図2-1●LAN内ではMACフレームがIPパケットを運ぶ
パソコンやブロードバンド・ルーターがつながるLANスイッチは,MACフレームのヘッダーにあるあて先MACアドレスを見て転送先を決める。IPヘッダーのアドレスを見ることはない。
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 最近では,複数のパソコンを利用しているユーザーも珍しくないだろう。そうしたパソコンを束ねるのはLANスイッチである。そして,そのLANスイッチの先にあるのがブロードバンド・ルーターだ。さらに,今回はアクセス回線がADSLの場合を例にしているので,ブロードバンド・ルーターはADSLモデムにつながる。

 実際に利用しているネットワーク機器の仕様などによって,LANの構成は違ってくる。例えば,ブロードバンド・ルーターとLANスイッチがいっしょになっていたり,ブロードバンド・ルーターとADSLモデムが一体化していたりする。また,LANスイッチの代わりに,無線LANのアクセス・ポイントを使う場合もあるだろう。図2-1は一例として見てほしい。IPパケットやMACフレームの処理は,基本的には同じである。

LANスイッチはフレームだけを見る

 パソコンAがIPパケットをインターネットに送り出すには,まずブロードバンド・ルーターにIPパケットを届けなければならない。そこでパソコンAは,ブロードバンド・ルーターにあてたMACフレームにIPパケットを載せて送信する

 IPパケットを載せたMACフレームは,まずLANスイッチまで運ばれる。IPパケットが載ったMACフレームをブロードバンド・ルーターに届けるためには,LANスイッチはポート(4)からMACフレームを送り出せばよい。

 しかし,LANスイッチにはいくつものポートがある。LANスイッチはどうやってMACフレームを送り出すポートを決めているのだろうか。

 実は,LANスイッチは,端末がつながっているポートと,端末のMACアドレスを対応付けた対応表(MACアドレス・テーブル)を管理している。この対応表は,多くのMACフレームを中継するうちに,その送信元MACアドレスを読み取って自動的に学習したものだ

 この場合,ブロードバンド・ルーターのMACアドレス(図2-1ではD)があて先としてMACフレームに付けられている。LANスイッチは「ブロードバンド・ルーターはポート(4)の先にあるんだ」ということをあらかじめ把握している。このため,ブロードバンド・ルーターあてのMACフレームを受け取ると,すぐにポート(4)から転送できる。

グローバル・アドレスに付け替える

 こうして,MACフレームに載ったIPパケットはブロードバンド・ルーターまで届く。ここでブロードバンド・ルーターには,大きな仕事が待っている。それは,IPアドレスの付け替えだ。

 IPアドレスには,インターネットで通用する「グローバル・アドレス」とLANの中だけで使える「プライベート・アドレス」の2種類がある。

 Part1で「コンピュータに重複しないように割り当てられる」と紹介したIPアドレスは,実はグローバル・アドレスのことである。グローバル・アドレスは,インターネット上のコンピュータに対して,重複しないように,一意に割り当てられる必要がある。アドレスが重複すると,IPパケットをどちらに転送すべきか,わからなくなるからだ。そこで,重複を避けるために,IPアドレスを管理する国際団体がプロバイダにIPアドレスの固まり(アドレス・ブロック)を割り当て,プロバイダはそこから契約ユーザーにIPアドレスを割り当てている。

 それに対してプライベート・アドレスは,ユーザーのLANの中だけで使えるIPアドレスで,使える範囲があらかじめ決められている。その範囲内ならユーザーが自由に割り当てられる。ただし,プライベート・アドレスはインターネット上で使えないことになっているので,あて先や送信元のIPアドレスがプライベート・アドレスのIPパケットは,プロバイダの入り口で遮断されてしまう

 インターネット上にあるWebサーバーのIPアドレスは,当然グローバル・アドレスである。従って,パソコンが送り出したIPパケットのあて先IPアドレスはグローバル・アドレスになっている。一方,LAN内のパソコンにはプライベート・アドレスが割り当てられているので,IPパケットの送信元IPアドレスはプライベート・アドレスになっている。

 そこで,ブロードバンド・ルーターは,送信元IPアドレスをプライベート・アドレスからグローバル・アドレスに付け替えて,インターネット側に転送する図2-2)。そのグローバル・アドレスは,ユーザーが契約しているプロバイダから割り当ててもらったものだ

図2-2●LANとインターネットでIPアドレスを使い分ける
図2-2●LANとインターネットでIPアドレスを使い分ける
LAN内部では決められた範囲内で自由に割り当てられる「プライベート・アドレス」を使う。しかし,インターネット上では各プロバイダに正式に割り当てられた「グローバル・アドレス」しか使えない。このため,LANからインターネットに出ていくIPパケットの送信元IPアドレスは,ブロードバンド・ルーターがプライベート・アドレスからグローバル・アドレスに付け替える。
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 ブロードバンド・ルーターが送り出したIPパケットは,アクセス回線の入り口となるADSLモデムに向かう。