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 総務省は2007年10月11日,「電気通信事業における会計制度の在り方に関する研究会」の検討結果をまとめた最終報告書と,8月10日に公開した報告書案に対して通信事業者などから寄せられた意見に対する研究会の考え方を公表した。総務省は最終報告書の内容を踏まえて,2007年度中をメドに関連する省令の改正手続きを進める見通しだ。

 最終報告書は,通信事業者の競争環境が回線交換網からIP網へと移行したり,FMC(固定通信と移動通信の連携)サービスのように市場の区分が従来と異なるサービスが登場することに対応して,現行のサービス種類別の区分を前提とした会計制度を見直すべきだと提言した。特に,NTT東西が手がけるIP系サービスについては現行の会計区分を細分化したり,費用配賦の基準を見直すなど,大幅に変更を加えることを求めている。今後の通信時業者間の競争に大きな影響を与えそうなのは,NTT東西のFTTHサービスに対する収支報告の義務づけや,光ファイバーの減価償却期間の変更などがある。

 まず収支報告義務については,需要が急増している「Bフレッツ」に対いて,加入電話や専用線などのサービスと同等に,単体のサービスとして収支報告を義務づけることとした。これはBフレッツの積極的な営業活動の原資に,加入電話などの独占的サービスからあがった利益が不当に使われることをけん制する狙いがある。

 この方針に対して,NTT東西以外の通信事業者からは,多くの賛同が寄せられたが,NTT東西は「限定した地域で参入してくる競合他社との競争上,著しく不利益になる」と反論した。この意見に対して今回研究会は,「FTTHサービスはそもそも指定電気通信設備を使って提供する独占的なサービスであり,他事業者の競合サービスと同列に扱うことはできない」と,反論を退けた。指定電気通信設備役務は各サービスごとに収支を区分,開示することが原則であるとの立場を取ったのである。

 一方,ソフトバンクやイー・アクセス,ケイ・オプティコムなどから提出された「Bフレッツを使うIP電話サービス「ひかり電話」は加入電話の代替サービスであり,同様の収支を公開すべき」とする意見に対して,研究会は,「ひかり電話は指定電気通信役務ではなく,今後指定された場合に必要性を検討する」との見解を示した。

 また光ファイバー回線に関する会計制度の変更では,減価償却費を算出する基となる耐用年数を,過去の実績から計算して算出する「経済的耐用年数」を採用するとした。これにより現行制度の10年よりも確実に耐用年数が長く算出されることになる。これによりFTTHサービスの接続料算定においても,費用回収期間が長くなるため,料金を引き下げる効果がある。

 このように,NTT東西のシェア(市場占有率)が7割程度まで高まっているFTTHサービスをめぐって,まず会計制度の変更から規制強化の方針が打ち出された。今後も,NGNの接続料検討や,その他の料金政策の検討の場にこの動きが波及するか,注目を集めそうだ。