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写真●福田 幸博氏 コクヨビジネスサービス 執行役員 ITソリューション事業部事業部長
写真●福田 幸博氏 コクヨビジネスサービス 執行役員 ITソリューション事業部事業部長
 (写真:齊藤 哲也)

 「何のために作ってもらうのか分かってますか?」、「パッケージを入れて終わりではないのですよ」。どのITベンダーにも、こう口を酸っぱくして言っている。

 ITベンダーにとっては、サーバーを売ったりパッケージソフトを売ったりと、ITそのものがビジネスになる。だからなのか、ITベンダーと話をしているとIT化の目的がいつの間にかシステムを作ることや、パッケージを導入することにすり替わっていることが多い。

 コクヨグループにとってのビジネスは、文房具を手がけるステーショナリ事業であり、家具などを手がけるファニチャー事業だ。ITは、これらの事業を拡大し成長させるための道具に過ぎない。これこそが、グループのシステムを担当する我々が推進するIT化の本来の目的。求めることは、この点を押さえた提案であり、開発の進め方だ。

 ITベンダーは、売る立場から使う立場へと視座を転換させるべきではないか。顧客基点でITをとらえた上で、自分たちのビジネスを構築し直してほしい。

 ITベンダーの提案や開発が本来の目的から逸れてしまうのは、オープン化が進んだことの裏返しなのかもしれない。ITの多様化や細分化が進み、人々の役割分担が広がっているからだ。今はハードだけを作って売る企業、ソフト開発だけに専念する企業、システムをデータセンターで運用する企業と、一つのプロジェクトにさまざまなITベンダーがかかわるようになった。汎用コンピュータが主流だった時代には、日立や富士通、IBMが1社でネットワークからコンピュータ、ソフトとすべて面倒を見てくれたものだ。

 プロジェクトの中で特化した役割に徹するのであれば、本来の目的をきちんと把握し、その実現に向けて自分たちが何をすべきかを考えてほしい。一方、SIerと称するITベンダーには、“多国籍軍”の指揮官のような腕前を求めている。SIerの仕事は、ITベンダーを適材適所に配置しながら、彼らが最終的なゴールを履き違えないように一つにまとめ上げていくことであるはずだ。

 だが、現実はなかなか厳しい。つい最近も、納期の遅れが生じたあるプロジェクトで、役割分担したITベンダー同士が、私の目の前で責任のなすり付け合いを始めたことがある。これではSIerに任せた意味がない。

 ITベンダーにはシステムを開発してもらうだけでなく、システムを使った事業を一緒に展開していけるような長い付き合いを望んでいる。通販事業のカウネットは、それでうまくいった。

 しかし、ここ1年ほどでこうした関係を構築しづらくなってきた。東京の金融業界を中心にIT投資が活発化しているようで、より高い人月単価を期待できるそちらの方へと、人材がシフトしているからだ。

 企業として目先の利益を優先することは、よく分かる。それでも我々の望む関係は、人月単位のビジネス以上にITベンダーにメリットをもたらすと考えているのだが。(談)