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 本記事は、情報システム事故に関するシリーズの8回目です。
 元は日経コンピュータ2001年1月1日号に掲載されたものです。


 みずほフィナンシャルグループは2000年11月,それまで進めてきた第一勧業銀行と富士銀行の勘定系および営業店システムの統合作業を一時中断した。中断の理由は,統合費用が当初見込みより膨れ上がったこととみられる。みずほグループは統合方法を再考する。2002年4月に予定していたシステム一本化は困難になりつつある。

 「あなたの質問には誤解がある。我々の狙いは,戦略的なIT(情報技術)投資を加速すること。その原資を得るために現行システムを統合して,維持費用を下げる。したがって,現行システムの統合は速く,安く,確実にやればそれでよい。そのために3行の現行システムから一つを選んで残し,そこに他行を片寄せ(一本化)する方法を選んだ」。

 1年前の1999年12月12日,みずほフィナンシャルグループ(以下みずほグループ)の設立を正式発表した記者会見の席上,日本興業銀行の西村正雄頭取は筆者の質問にこう答えた。質問は,「第一勧業銀行,富士銀行,興銀の現行システムを統合する作業に力と時間をとられ,本来急ぐべき新しい情報化が進まなくなるのではないか」というものだった。

 西村頭取に先立って,富士銀行の山本恵朗頭取がこの質問に答え,「インターネット・バンキングに代表される新しいIT投資は,統合の間も止めず,どんどんやる。統合作業をしているから,新商品やサービスを出せないということはない」と強調した。

 それから9カ月後の2000年9月29日には3銀行を傘下におさめる持ち株会社,みずほホールディングスが設立され,みずほグループは第一歩を踏み出した。しかし,筆者の調べによれば,みずほグループのシステム統合プロジェクトは,「遅く,金がかかり,不確かな」状況に陥りつつある。

ほぼすべてのプロジェクトが足踏み

 まずプロジェクトの中の最大案件である,リテール(個人,中堅・中小企業顧客)分野の勘定系および営業店システムの統合作業が難航している。2番目に大きい案件である,ホールセール(大企業・金融法人顧客)分野の勘定系システムの統合も相当に難しいことがわかってきた。

 さらに国際システムの統合,みずほグループ内の信託銀行の統合も軒並み足踏みしている。情報系システムの統合も当然,進んでいない。一連の勘定系システムの仕様が固まらない限り,そこからデータを受け取る情報系の統合を進めようがないからだ。みずほグループの顧客には関係ないものの,3銀行の給与計算システムの統合も進んでいない。

 本誌はみずほホールディングスに取材を申し入れたが,2000年12月の段階ではできなかった。ただし,主要な点については書面で確認作業を行った。以下では,複数の関係者を取材した結果に基づき,みずほグループのシステム統合プロジェクトの現状と今後の展望を報告する。