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WXC590
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 ジュニパーネットワークスは10月23日,同社が提供するWAN最適化装置「WX/WXC」シリーズを機能強化したと発表した。機器のOSを新版「WXOS5.5」にバージョンアップし,セキュリティを維持しながら高速化を図れるようになった。具体的には,従来製品の課題だったSSL通信の高速化を実現した。SSL通信の高速化はなぜ難しいのか,それを新版ではどうやって高速化したのか,解説しよう。

 WAN最適化装置とは,企業の本社-営業所間など,遠隔拠点間でアプリケーションの実行速度やデータ転送を高速化させる装置である。こうした装置は,サーバー統合による運用負荷の軽減やセキュリティ強化を狙って需要が高まっている。WX/WXCシリーズは,独自のデータ圧縮技術やTCPプロトコル通信の高速化,帯域の優先度設定などを組み合わせてWANの通信を高速化する。

 こうしたWAN最適化装置だが,一般に,SSLで暗号化されたデータは高速化しにくいという課題がある。WX/WXCシリーズに備わる(高速化手法の一つである)データ圧縮技術では,WAN間でやり取りされるデータから繰り返し出現するパターンを見つけ出し,そのパターンを「辞書情報」と呼ぶラベルに置き換えることでデータ量を圧縮する。そのため,暗号化しているSSLのデータは圧縮が効きづらかった。これまでは,「高速化をあきらめるか,セキュリティを妥協してSSLを利用しないかを選択しなければならかなった」(マーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャー,中村真氏)。

 今回ジュニパーネットワークスが発表したWX/WXCの新版では,暗号化されたデータをいったん復号し,データを圧縮する仕組みを備えている。圧縮されたデータはIPsecを使って暗号化し,拠点間(WX/WXCで結ばれたWAN間)を通信するのでセキュリティを確保できる。送信先拠点に送られたデータは,再びSSL暗号化される。通信するサーバーやクライアントは,アプリケーションのSSL設定を変更する必要はない。

 また,WX/WXCの新版ではセキュリティ機能の強化として,Windowsのファイル共有などで利用される「SMB(Server Message Block)署名」を使った通信の高速化にも対応した。従来製品のWX/WXCでWAN高速化を利用するには,SMB署名をオフにしなければならなかった。新版では,WindowsのドメインにWX/WXCを参加させることでSMB署名を付けたまま高速化できる。

 ジュニパーネットワークスは今回,WX/WXCの管理ソフトである「WXセントラル・マネジメント・システム(CMS)」も併せてバージョンアップした。新版「WX CMS5.5」の特徴は,コンテンツ配信機能を備えたことである。遠隔拠点で利用するデータをWX/WXC上にスケジュール配信可能で,ユーザーはローカル拠点に保存されたデータをWANを介さずに利用できる。このとき,WX/WXC上に配信されたデータは,辞書情報を使って圧縮された状態で保存されるので,セキュリティを確保できる。また「専用のコンテンツ配信サーバーを別途用意する必要がないので,低コストでコンテンツ配信を実現できる」(中村氏)という。

 WXOS5.5とWX CMS5.5は,WX/WXCのソフトウエア・バージョンアップ版として,2007年11月から同社の販売パートナーを通じて販売する。価格はオープン。既存のWX/WXCでサービス保守契約を締結しているユーザーは,無料で新版のソフトをダウンロードできる。