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写真7 昼食時には食堂以外にも近隣のレストランに食べに行く姿もみられる
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 車載通信機器などを製造・販売するヨコオが、日本での成功体験をもとに中国でトヨタ流改善を始めたのは2006年。その中心人物である多胡 一男氏に、取り組みの詳細をほぼリアルタイムでメルマガに寄稿してもらった。1年前の話ではあるが、現地に改善活動を根づかせるためには何が課題となるのかなど、中国で改善に取り組もうとする企業にとっては大いに参考になるだろう(日経情報ストラテジー編集部)。

多胡 一男
東莞友華汽車配件有限公司(ヨコオの中国法人) OJT-Sプロジェクト 経理担当


 皆さんこんにちは。中国からの7回目となります。

 日本ではOJT-S(トヨタ生産方式に基づく職場改善・人材育成)活動の1回の活動期間を6カ月としていますが、友華汽車では我々の赴任のタイミングと現地の年間活動計画に連動させるため、第1期・第2期はそれぞれ5カ月を活動期間としました。その後、定着のためのフォローと「かんばん」などの未導入システムの展開により、さらなるカイゼンを進めることにしています。早いもので友華汽車に赴任して5カ月が過ぎました。今回は第1期(モデル職場)活動の総括と第2期に向けた取り組みの一端をお話しします。
(原文は2006年11月29日付け日経情報ストラテジー・メール)

■第1期総括

 日本でOJT-Sのトレーナーから、こんなことをよく言われました。

 「カイゼンは100%を求めるな!60%でいいから、すぐやれ!」「自分の目と耳で現場の実態をつかめ!」「カイゼンに終わりはない!」

 中国に来る前はそんなことは分かっているといつも思っていましたが、いざ中国でプロジェクト(PJ)メンバーの行動を見ていると、当たり前のことができていません。また自分で活動範囲を決めてしまい、「問題が解決とへ進まないのは周りが協力しない(動かない)から」といった理由を後から言ってきたりするのを目の当たりにすると、メンバーのスキル・経験からみて独りでOJT-Sを進められる訳でもなく、当PJのリーダーとしての“自分の力の無さ”“進め方のまずさ”を痛感した5カ月でした。

【1】5S活動

 前回お話しした5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動ですが、各自が身の回りの2Sに絞って繰り返し指導した結果、普段使っている工程周辺のレベルは満足のいくものに変化してきました。

 特に作業台には「今使うもの以外は無い」状態ができています。ただ、工程周辺の5S状態が良くなってくると、今度は違う部分が気になり始め、職場全体の評価を実施すると、当初の目標値90%にわずかに届かない結果となりました。

 結果としてみると、作業者の3S(整理・整頓・清掃)活動への関心、監督者の定着への意識は大分上がってきたと実感しています。第2期への課題は、20%ほど向上した現状水準を継続して、さらなるカイゼンが進められるかです。

【2】標準作業

 この1カ月は標準作業の現場定着を進めてきましたが、設定した作業分担・時間でリズム良く組み立てができるラインが増えてきています。これは、OJT-Sと現場監督者による指導と確認を繰り返し実行してきた賜物と思っています。ただし、これで良いと思わず、指導と確認を継続する習慣を身につけてもらうよう働きかけをしていきます。

 標準外作業の専任化は11月より主要工程はすべて配置でき、作業者が組み立てに専念できる環境整備が終了しました。第2期への課題は、交代勤務(夜班)ではどうしても可動率が落ちるので、標準作業の定着と標準外作業の専任化による可動率の向上が挙げられます。特に、夜班は全工程が生産するわけではなく、専任者に複数の製品をカバーできる能力が要求されます。

【3】工程内の基準づくり

 それぞれの設備・治具、部品置きや各種配線などでモデルを設定し、全ラインで基準にあったものに交換・修正を進めています。例えば、従来は一つの工程で専用使用していた「はんだ吸煙器」を1台で複数工程で使用可能なものに改造し、併せてパイプ部分を金属製でフレキシブルに可動できるものにして、静電気対策と工程配置に柔軟に対応できるものにしています。

【4】管理指標の見える化

 掲示書類は従来からのもの、OJT-Sで改良したものなど、必要なものは掲示しましたが、見やすさ・使いやすさでいうと、まだまだカイゼンが必要です。第2期への課題は、掲示物から管理指標として「誰もが見たくなるもの」へのカイゼンです。見える化は第1期を終了した今、一番不満の残る項目です。

【5】新たな取り組み

 10月から新たな取り組みとして、友華集団(中国工場3社)の設備・治具作成を支える生産技術部と共同でカイゼン活動を展開することとなり、実際に取り組みを開始しました。

 この活動は生産技術部責任者からの提案ですが、お互いのノウハウを共有して刺激し合いながら工程カイゼンをスピーディーに進め、併せて個々のレベルアップを狙いとしています。

■第2期に向けて

 第2期は友華汽車でのOJT-S展開のスピードアップを狙って、当初計画では1つの製品へ横展開の予定でしたが、今期はPJチームを4つにし、3製品4職場へ活動を展開することとしました。この拡大展開には従来の4人の専任メンバーでは戦力不足なため、友華汽車より8人を専任メンバーに迎え、活動を開始します。新メンバーは選抜された幹部候補生たちなので、「トヨタ流ものづくりの考え方」を基礎から指導していきたいと考えています。

■赴任生活

 中国では10月後半から朝晩が冷え込んできましたが、まだまだ半袖で十分過せる気温です。日本のニュースで紅葉前線の様子を伝えていますが、工場の近くには山がないので樹々の紅葉が見られないのが残念です。

 最近はまっている料理を紹介します。

 食材店の店先ではテーブルとイス(どちらも腰掛けほどの高さ)が出ていて、そこで食事ができるようになっているのですが、そのテーブルのコンロに鍋をかけ、野菜や魚を煮て楽しんでいます。最後はラーメン(中国麺は日本のラーメンとうどんの中間の感じ)を放り込んで、鍋とラーメンの両方を楽しんでいます。ちなみにスープの味付けは、薄味から辛いものまで何でもありで、両方の味を楽しめるように中が仕切ってある鍋も時々出てきます。

 では今回はこの辺で。


多胡 一男(たご かずお)
1981年、株式会社ヨコオ(車載通信機器・無線通信機器などの製造・販売)入社。2006年6月より同社中国工場である東莞友華汽車配件有限公司にてOJT-Sプロジェクト 経理担当。ヨコオでは、人事部門にて、人事システム革新テーマ等に取り組む。その後、車載通信機器生産部門責任者に就任。2004年には韓国での合弁会社の製造立ち上げ責任者として駐在。2005年からはOJT-Sプロジェクト(トヨタ生産方式に基づく職場改善・人材育成プロジェクト)に参画し、製造現場のものづくりシステム改善に取り組み、現在同社中国工場への展開で奮闘している。同社のWebサイトはこちら