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NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は,NGNの網機能を活用したサービス提供基盤となるSDP(service delivery platform)を開発した。このSDPが提供するAPI(application programming interface)を使えば,ASP事業者や一般企業がNGNの網機能を活用したサービスやシステムを手軽に組めるようになる。

 NTTコムはSDPを,沖電気工業(OKI)が開発したSIP搭載J2EEアプリケーション・サーバーと日本ヒューレット・パッカード(HP)製の音声/メディア処理プラットフォームなどをベースに開発した。

 このSDPは,網側に対する各種の処理を指示する機能群「イネーブラー群」と,イネーブラー群の各機能を組み合わせて特定のアプリケーション基盤を実現する「EAP(enterprise application platform)」で構成する(図1)。イネーブラー群としてはNGNのSIPサーバーの制御を行うSIP-AS(SIPアプリケーション・サーバー)や帯域確保などが,EAPには第三者の呼制御を行う「3PCC」(third party call control)や複数のユーザーとビデオ会議を行う「マルチメディア・カンファレンス」などがある。

図1●NTTコミュニケーションズが開発したSDPを使ったクリック・ツー・コールの例
図1●NTTコミュニケーションズが開発したSDPを使ったクリック・ツー・コールの例
SDPはNGNフィールド・トライアルのWeb連携アプリケーションサービスで検証している。
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現段階はAPIにParlay Xを採用

 NTTコムは,SaaSのアプリケーションなどがSDPと連携して利用するためのAPIとして,「オープンAPI」を用意している。これによって,ASP事業者や一般企業が手軽にNGNの網機能を利用できるようになる。

 オープンAPIの仕様はまだ検討中であるが,標準仕様を積極的に取り入れていく考えだ。今回,NTTコムがNGNフィールド・トライアル向けに開発したSDPでは,3PCCやマルチメディア・カンファレンスなどの機能を利用するためのオープンAPIとして,Parlay X に準拠したAPIを用意した。

 NTTコムは,NGNトライアルではOKIと協力してSaaSアプリケーションとNGNの網機能を連携させた実証実験を展開している。メールやスケジュール帳などの機能を持つSaaS型のグループウエア「Zimbra」から,クリック・ツー・コールを実行したり,プレゼンス情報を取得したりできる。

 例えば,クリック・ツー・コールでは,パソコンでグループウエア上の電話番号をクリックすると,グループウエア・サーバーがSDP側の3PCCに対して自分の電話機と相手の電話機との間で通話を開始するように要求する。すると3PCCはSIP-ASに対して,NGN上にあるSIPサーバーへ自分と相手のIP電話機との間にSIPのセッションを張るように要求し,通話が始まる。

 NTTコムのSDPは,NGNだけでなく,同社のインターネット・サービス「OCN」やVPNサービスなど既存ネットワーク上でも利用できる。既存ネットワーク上で前述のクリック・ツー・コールを利用する場合は,3PCCがイネーブラー群の中の「C2X」と名付けたSIPサーバーを呼び出す形になる。SDPの商用化に当たっては,「可能な限り多くのネットワークで利用できるようにする」(NTTコム)考えだ。