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メールや携帯を当然のものとして育ってきた世代

 以下では,なぜ25歳以下の若手社員をネットがもたらす変化の象徴としたのかについて説明する。

 日本で言えば大学に入る前からPHSや携帯電話に慣れしたしんできた世代,米国でいえば子供の頃から電子メールに慣れ親しんだ世代が,おおよそ25歳以下なのである。調査会社の米ガートナーは現在,17歳以下の世代を「デジタル・ネイティブ」と名付けている。日本では,25歳以下の世代に,このデジタル・ネイティブに通じるものがあると考えている(関連記事4:いまだに「Web2.0は企業には関係ない」と思っている人たちへ)。

 こう考えるのは記者だけではない。ある大手シンクタンクで最新技術動向について調べているアナリストも「確かにここ1,2年の間に入社してきた社員はITに関するスキルがそれ以前の世代に比べて圧倒的に高い」と話す。ブログ・ソフトMovable Typeなどを開発する米シックス・アパートのクリス・アルデン会長兼CEO(最高経営責任者)に取材した時も,似たような話になった(関連記事5:求められるのはコミュニティ,ブログにはそれを作る力がある )。

 すでにネット発で世界を動かし始めた25歳以下も登場している。全米第2位のSNSであるFacebookを運営する米フェースブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏もその1人だ。フェースブックの設立は2004年,ザッカーバーグ氏はまだ23歳にすぎない。

 10月25日,米マイクロソフトはフェースブックに2億4000万ドル(1ドル=114円換算で約270億円)を出資すると発表した(関連記事6:MicrosoftがFacebookに2億4000万ドル出資へ,広告配信の提携を強化)。その見返りはFacebookでの独占的な広告の配信だ。同社はマイクロソフトのネット戦略に大きな影響をもたらす存在になっている。

 さらに,出資を決めるに当たってマイクロソフトはフェースブックの企業価値を150億ドル(1ドル=114円換算で約1兆7000円)と見積もっている(関連記事7:MSが150億ドルと値踏みした新興SNS「Facebook」の魅力)。フェースブックを中心となって創業したザッカーバーグ氏は20代で巨額の富を得ることになった。

 ここまで読んできて,ザッカーバーグ氏をごく普通の若手社員と比較するのはおかしいとお考えの方がいらっしゃるかもしれない。また社会を変革するようなIT企業は昔から20代の若者が創業してきたとお考えの方もいらっしゃるかもしれない。どちらの指摘も正しい。しかし現在,ITの大きな変革の象徴としての若者ということであれば,ザッカーバーグ氏はまさに最適の人物ではないだろうか。

 とここまで書いてきたが,記者本人は25歳をはるかに上回る“あなた”そのものである。今年に入って記者は,ITpro「SaaS & Enterprise2.0」の編集を担当することになり,企業情報システムでよく使う枯れたものとは異なる技術やサービスを取材する機会が増えた。正直言って,企業で利用するものとしてはまだ,信頼性などの面でこれらの技術に不安を感じる。

 それでも記者は,ITによる変化を恐れてならないと思う。アクセンチュアのスー氏は同じ取材で「企業はこれまで必ずといっていいほど新技術がもたらす影響を過小評価してきた」と話した。安定していることは重要であるが,変化による前進がなければ成長できないこともまた同じくらい重要だと思うからである。