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 アプリケーションの処理性能の面では、仮想化機能の強化に対する評価が高い。Windows 2008では、新たに「Windows Server Virtualization(WSV)」と呼ぶ仮想化ソフトが利用可能になる。

ITpro編集部注:Microsoftは2007年11月に「Windows Server Virtualization(WSV)」の正式名称を「Hyper-V」と発表しました。

 WSVでは、「ハイパーバイザー型」と呼ぶアーキテクチャの採用、仮想化したOSの動作モードの改良などにより、従来の仮想化ソフトに比べて処理性能を大幅に改善できるとみられる(図5)。日立の仲 主任技師は、一般論とした上で、WSVが持つアーキテクチャによって、「アプリケーションの処理性能は倍以上になるはず」と話す。

図5●Windows Server Virtualizationの強化点
図5●Windows Server Virtualizationの強化点
Windows Server 2008の仮想化機能「Windows Server Virtualization」では、Virtual Server 2005における「ホストOS」と「ゲストOS」の関係が変化する。ゲストOSに相当する「子パーティション」と、子パーティションを管理する「親パーティション」はいずれも、「ハイパーバイザー(hypervisor)」と呼ばれる非常に小さなソフトウエアの上で動作する。ハイパーバイザー方式のメリットは、従来の仮想マシン・ソフトに存在したオーバーヘッドが解消されていることだ
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 仮想化技術の処理性能アップに期待が集まるのは、今後のITインフラを構築・運用する、最も重要な基盤技術だからだ。運用の簡素化や企業グループ内での共通サービス化など、コストを抑えつつサーバーを統合するニーズが高まりつつある。「従来のオーバーヘッドが改善されれば、仮想化技術を使ったインフラの統合が、より容易になる。仮想化技術を利用する裾野が、大きく拡大するだろう」(日本IBMでIAサーバー関連の技術支援を担当する渡邉源太アドバイザリーITスペシャリスト)。

 ハイパーバイザー型の仮想化技術は、最大手である米ヴイエムウェアの「ESX Server」や、オープンソースの「Xen」がすでに実装済み。マイクロソフトの仮想化ソフトも、これらにようやく追いつくことになる。

完成は2008年末まで「お預け」

 ただし、WSVを本格的に利用できるのは、2008年末のことになりそうだ。WSVの出荷は、「Windows 2008の発売から180日以内」(マイクロソフト)。さらに、WSVに当初搭載する予定だった目玉となる機能を、いくつか見送る。稼働中の仮想マシンを別のハードウエアに移行する「ライブ・マイグレーション」機能や、仮想マシンに対してハードウエア資源を動的に追加する機能などだ。

 これらの機能の提供時期について、マイクロソフトは明言を避けている。遅れの理由は、「品質の検証と、より多くのハードで動作可能にするための検証に、想定より多くの時間を費やすことになったため」(吉川部長)。

 仮想化以外にも、処理性能の面ではマルチコア・プロセサを搭載したサーバーでの動作が改善しそうだ。日本ヒューレット・パッカードでIAサーバーの技術検証や支援を担当する飯島徹 エグゼクティブコンサルタントは、「Win-dows 2008では、プロセサ・コアごとのキャッシュ・メモリーの割り当てや共有を、OSのAPI経由で制御できるようになる。ハードウエア資源を使い切るよう、アプリケーションを開発できるだろう」と話す。

 この強化点は、特にデータベースやパッケージ・ソフトの性能向上に寄与すると見られる。「NUMA型のプロセサ、例えば米AMDのOpteronなどで動作させれば、処理性能を従来の1.6~1.8倍ほどに高められる」(同)。