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図1●データ品質マネジメントのポイント
図1●データ品質マネジメントのポイント
先進企業の取り組みやベンダーへの取材を通して、3つのポイントが浮かび上がった
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 「データの品質問題」に正面から向き合い、データ品質マネジメントを通じてデータの力を引き出す企業。このような企業を、ここでは「データ優良企業」と呼ぶことにする。

 データ優良企業への第一歩は、データ品質マネジメントに必要な情報システム基盤を作ることだ(図1)。さまざまなシステムで、正確なデータを収集する。すべてのシステムから必要なデータを収集し品質を整える。データは統合管理する。分散したデータベースを運用している場合には、1カ所から統一したインタフェースでアクセスしたり管理したりできるようにする。

 テックバイザージェイピーの栗原氏は「本来、データの入力から一元管理までの統合基盤は、企業情報システムに必須の要素」と話す。


「発生時点により近く」が原則

 IT基盤構築に欠かせないのは、「とにかくデータの発生時点に近いポイントに、品質劣化を防ぐ仕組みを作り込むこと」(ガートナー ジャパンの堀内秀明リサーチ ディレクター)になる。

 データベースにため込んだデータを加工する時点よりはデータベースに格納する前が望ましい。最も効果的なのは、システムへの入力時点で、データ品質を正すことだ(図2)。

図2●ITを活用したデータ品質マネジメント基盤構築のポイント
図2●ITを活用したデータ品質マネジメント基盤構築のポイント
ETLツールや名寄せツールを利用して、全社レベルの統合データベースを作成すること。できるだけデータの発生時点に近い部分で正しい内容になるよう心掛けることだ
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 いったんシステムに蓄積され、ネットワークを介してさまざまなシステムを経由するほど、加工されたり別のシステムに再入力されたりして、全社のデータ品質はどんどん劣化していく。要するに「データが“ウソ”をつく」(三菱自動車工業の片山薫アフターサービス本部サービス情報管理部 上級エキスパート)ようになるのである。

 IT基盤としてまず作るべきは、入力時点でのミスや漏れを防止したり、データ入力負荷を軽減したりするためのデータ入力インタフェースである。

 三菱自動車はJALと同様に、ユーザー・インタフェースを改善し、データ発生時点で間違いや重複を防止することに注力している。同社は06年から展開している「新品質情報システム(SQMシステム)」でこの問題に取り組んでいる。

 SQMシステムは販売会社から寄せられるクレームや故障情報をリアルタイムに収集・分析するもの。原則として選択肢を選んでいくことで、必要なデータの入力を完了させられるようにした。

 画面上のイラストをクリックしたりプルダウン・メニューを選んで、車種や部位、故障内容を選択できる。「ITの専門家ではない販社の整備部門は、顧客対応や修理作業の手配で忙しい。データ入力作業の負荷をなるべく減らすことで、収集するデータ品質の向上につながるよう配慮した」(片山上級エキスパート)という。

 センサーなどを使ってデータ入力を自動化することで、データ品質を高める方法もある。その代表例がRFID(無線ICタグ)である。ただRFIDはデータの授受に電波を使うため、読み取り精度は100%にはならない。RFIDを使っている企業はこの点に気を配り、精度を高めるための工夫をしている。

 例えば松下電器産業グループのパナソニック パーツサプライは、電器・電子製品の修理用パーツの管理にRFIDを利用。RFIDの張り付け方を工夫して、パーツの形状に応じて表側や側面に張るといったノウハウを確立したという。