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「受注なくして売り上げなし」。ソリューションプロバイダが決算に向けて、ラストスパートにしのぎを削っています。営業パーソンたちは必勝必達を胸に記して、見込み案件の成約に邁進していることでしょう。案件を確実にモノにするために、最後の詰めをどのようにすればよいのか。クロージングの要諦を分かりやすく解説していきます。

 見込み案件を成約させるには、営業として押さえておかなければならないポイントがあります。そして、過去の受注案件の勝因や失注案件の敗因を分析すれば、自ずとそのポイントが見えてくるものです。

 「キーパーソンに食い込んでおり受注できると思っていたのに、キーパーソンだと思っていた人に実権がなく、失注してしまった」とか、「決まると思っていた案件がズルズルと引き延ばされてしまい、最後には顧客のヤル気がなくなって案件が消滅してしまった」などの経験は、多くの営業パーソンが経験しているのではないでしょうか。

 本連載では、営業パーソンが押さえるべきクロージング、すなわち案件を契約にまで持ち込む活動の要諦を具体的に解説していきます。そして、実際に顧客の意向を打診する場合、どのようにテストクロージングをしたらよいかについても示唆していきます。読者の皆さんが、現在抱えている案件を想定しながら読み進め、契約締結のアクションに役立てていただければと考えます。第1回目は、クロージングを成功に導くための基本的なチェックポイントについてご紹介します。

Point1:導入意志を判別せよ

 見込み案件の中には、なかなか商談が進ちょくせずに停滞したままのケースがあるものです。顧客の担当者に打診しても「社内で検討中だ」と言うばかりで、一向にその先が見えてこない案件です。こうした案件でも、顧客の社内でどのような検討がなされているのか、どこがネックになっているのかが分かれば、対策を講ずることも可能です。しかし、そこを聞き出そうとすると担当者にはぐらかされてしまい、あいまいなまま時間だけが過ぎているのです。

 このような場合には、ソリューションに対する顧客の導入意志の強弱を判別して、見込み案件として今後とも重点的に働き掛けるべきなのか、それとも見込みリストから外して優先順位を下げてしまう方がよい案件なのかを、ハッキリさせることが大切です。導入意志があいまいな案件に営業の時間と労力をかけるより、導入することが確実な案件に注力した方が、成果を出せる可能性は高まります。

 手持ちの見込み案件が少なくなるのを恐れて、営業パーソンが意識的に案件を残していることもあるでしょう。しかし、そのような“見込み”案件を残しておいても、成約に至らないことは明白です。その案件に見切りをつけて次の案件発掘に注力した方が、成果に結び付く可能性は高いのです。

 顧客の導入意志を判別する上では、導入時期が明確になっているかどうかが大きな判断要素になります(図1)。例えば、現行の情報システムのリース切れに伴い、システムを全面的に見直すことがスケジュールに上っているような場合は、導入意志が固いと判定することができます。

図1●導入意志の判別のポイント
図1●導入意志の判別のポイント
予算確保の状況や検討組織の有無なども判別のポイントになる

 ただし、システムの導入時期が明確になっていたとしても、その根拠があいまいな場合もあります。上期や下期などの区切りに合わせてスケジュールを単純に設定している場合や、顧客の担当者が個人的な目安として決めているだけという場合もあるでしょう。このようなときは、導入時期がズレ込んだときに生じる顧客側のリスクの大きさによって、導入時期の可能性を評価することができます。導入が遅れても大きなリスクが伴わない場合は、顧客にとっては時期にこだわる必要性がないといえるでしょう。

 導入意志の判別には、キーパーソンの意向も重要な判断要素です。CIO(最高情報責任者)が導入を表明している案件であれば、その実施はまず間違いないと判断できます。しかし、担当者レベルの意志による場合は、CIOの意向によって優先順位が大きく変わってしまうことがあります。初めはすぐにでも導入するような口ぶりであった案件が、状況変化によって優先順位が下がってしまい、いつの間にか案件自体が消滅してしまうことも十分考えられます。手持ちの見込み案件が停滞している場合には、キーパーソンがその案件に対してどのように考えているのかを確認する必要があるでしょう。

Point2:予算の確保状況を把握せよ

 見込み案件のクロージングを成功させるためには、顧客の予算が確保されているかどうかをつかんでおくことも重要です。その案件の予算確保の有無だけではなく、今期中に当該案件にどのくらいの予算が確保されているのかをつかむのです。既に見積もりを提出しているのに意思決定が延びている場合には、見積もり金額が予算内に収まっているのかを確認します。見積もりが予算内であることが確認できれば、クロージングのハードルを一つ越えたことになります。

 このときに案件の予算が確定していないことが分かれば、予算を確定してもらうアクションが必要になります。予算が確定していない場合とは、予算の裏付けがしっかり手当てできていない場合か、予算化されていても予算執行が不確実な場合が考えられます。つまり、顧客の経営環境の変化や業績の推移によって、予算執行の承認が得られない場合です。

 予算に対するクロージング活動では、顧客のCFO(最高財務責任者)へのアプローチも必要です。特に予算執行の承認が下りにくくなっている場合には、 CFOの判断が大きく左右します。見込み案件が進ちょくしない原因がここにある場合、情報システム部門へのアプローチだけでは、商談を円滑に促進できない場合が多いのです。

 CFOへのアプローチに当たっては、営業パーソンの力だけではなく、ソリューションプロバイダとしての組織的な営業活動が必要です。経営トップ層同士による面談の場を作ったり、金融機関を通じてアプローチしたりすることが有効な場合もあるでしょう。営業パーソンとマネジャーが中心となり、クロージングに向けた組織的活動を推進するのです。

 予算執行の承認が厳しくなっている場合、経営課題の優先順位が顧客内で変化しているという仮説が成り立ちます。つまりソリューションプロバイダとしては、新たなソリューションを提案する絶好の機会とも考えることができるわけです。既に提案している見込み案件が、顧客の新たな経営課題の解決に役立つのであれば、もう一度その視点から提案を組み立てることも可能です。それが難しい場合でも、全く新たな提案をすることによって、新規案件を発掘することができるかもしれません。