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 米Microsoftの開発ツール新版「Visual Studio 2008」がようやく完成したようだ。同社の11月5日付けプレスリリースによると,英語版のVisual Studio 2008および.NET Framework 3.5は,11月末までに出荷開始するという。現時点でマイクロソフトから,日本語版の提供時期に関する正式なアナウンスはまだないが,日本語版Visual Studio 2008も早ければ12月中に入手可能になるのではないかと思われる。

 しかし,そう聞いても,以前のような“いよいよ感”が今ひとつわき上がらない。すでにベータ版が出回っており,Webサイトやイベントなどで事前に情報が伝わっているから,という理由だけではない。以前は同じような状況でも,早々に自分のマシンにインストールして触ってみたいという衝動があり,実際にそうしてきた。

 もちろん仕事のためにいち早く知らなければならないという事情もあった。が,それだけではない。Visual Studioは,WindowsやOfficeと並んで,Microsoftの柱となる製品だ。新版で追加された拡張機能や改善点を知ることは,Microsoftの新技術や今後の方向性を理解するという点においても意味があるのだ。

 しかし,今回に限ってはつい最近まで,ベータ版すら触れていなかった。実は,一番の理由はわかっている。仕事でもプライベートでも,Windows Vistaを使っていないからだ。Visual Studio 2008は本来,Vistaのための開発ツールである。手元にVistaマシンがない状況では,XPにごちゃごちゃとエクステンションを加えてまで,使ってみようという気にならなかったのだ。

 ただし,誤解しないでいただきたい。Visual Studio 2008は,Vistaでなければ使えないわけではない。ベータ版(Beta 2)の稼働OSには,Vistaに加えてWindows XP(SP2以降)やWindows Server 2003(SP1以降)も含まれている。製品版も同様になるだろう。

 したがって,XPに.NET Framework 3.0や3.5をインストールして,そこでVisual Studio 2008を使うことも可能だ。マルチターゲットと呼ぶ機能を備えているので,.NET Frameworkの各バージョン(2.0,3.0,3.5)に対応したアプリケーションを開発できる。しかし,.NET Framework 2.0や3.0対応アプリケーションなら,現行のバージョンVisual Studio 2005でも開発可能だ。バージョンアップするまでもない。

 やはりVisual Studio 2008は,Vista+.NET Framework 3.5で使ってこそ,その真価を発揮すると言えよう。例えば,Vistaの特徴であるWPF(Windows Presentation Foundation)に対応したアプリケーションを,従来のWindowsアプリケーションと同様にビジュアルに作成できる。また,.NET Framework 3.5の目玉機能の一つであるLINQ(Language Integrated Query:統合言語クエリ)は,Visual Studio 2008に搭載されたC# 3.0やVisual Basic 9.0などで利用するものだ。

 アプリケーションがあってこそのOSである。Visual Studio 2008の登場によって,Vistaの力を100%引き出すアプリケーションを作れる環境がようやく整う。筆者のように,Visual Studio 2008が出てくるなら,“そろそろVistaを導入してもよいかもしれない”などと思う開発者/技術者もいることだろう。

 それは同時に,現在苦戦しているエンタープライズ分野にVistaが入り込んでいくための準備が整ったことを意味する。既存システムの再構築や連携アプリケーションの開発がどうしても必要になるからだ。ある意味で,エンタープライズでのVistaの評価はこれから始まると言えるだろう。