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 ベトナムの急進を目の当たりにし、優秀な人材の確保に苦労する日本の大手ベンダーが、ベトナムに触手を伸ばし始めた(表1)。昨年は、日本ユニシスと NECが、ハノイにソフト開発子会社の現地法人を設立した。日本人の幹部が直接現地に出向いてベトナム人技術者の採用や教育に乗り出すなど、ベトナムへの発注を強化する動きを見せる。

表1●ベトナムのオフショア開発に積極的な国内ベンダーの動き
表1●ベトナムのオフショア開発に積極的な国内ベンダーの動き

将来の技術者を囲い込む

 日本ユニシス・ソリューションズ(USOL)の現地法人「USOLベトナム」の横溝幸一社長は、ベトナム進出の理由を、「安価な技術力を使った目先のコスト削減でなく、3年後、5年後といった中長期的な戦略に基づき技術者を育成するため」と説明する。

 横溝社長のベトナム人技術者評は、「シビアにみれば、現時点では戦力外」と厳しい。真面目でチームワークを重視する文化は日本と似ているものの、日本語はまだたどたどしく、「やる気はあっても、仕事への責任感などで、日本人と全く同じレベルは期待できない」(同)からだ。

 だが一方で、素材の優秀さは半端ではないという。USOLベトナムの社員で、日本ユニシスの東京本社で半年間の研修を受けたグエン・スァン・バッチ氏(23歳)は、入学試験免除で、最難関のハノイ工科大学に入った超エリートだ。ベトナムに64ある各県の成績優秀者8人だけが受験できる全国統一試験で3等賞を取った逸材だ。残念ながら、日本でこれだけ優秀な学生をIT業界が引き入れるのは難しい。

 将来の戦力として教育を支援するという姿勢は、FPTソフトに開発を発注している日立ソフトやTISにも共通だ。日立ソフトでは小川健夫相談役がFPT 大学のシニア・コンサルタントに就任するなど技術者教育に積極的にかかわり始めた。TISも、FPTのベトナム人技術者を日本に招き1年間研修を受けさせたり、日本に留学中のベトナム人学生に奨学金を出すなど技術者教育を後押しする。

 東京から3500キロ以上離れたベトナムで、ITと日本語の猛勉強を続ける20代の若者たち。一方で日本企業は少子高齢化の影響からは逃れられない。彼らの能力に頼るのか、あるいは別の道を探るのか。ユーザー企業としても、ベトナムのIT事情に目を向けておく必要があるだろう。