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KDDIとNTTドコモは10月,端末の新販売モデルを発表した。端末の販売奨励金を毎月の通信料金で回収する不透明性や,端末買い替え頻度の違いによるユーザーの不公平感を低減するのが狙いだ。ユーザーはKDDIなら「フルサポートコース」,NTTドコモなら「バリューコース」を選んだ方が,コスト・メリットがありそうだ

 KDDIとNTTドコモが相次いで新販売モデルを導入するのは,多額の販売奨励金を使ったこれまでの販売モデルが問題視されていたからだ。現行の販売モデルでは,販売奨励金を通信料金から回収するなど,端末価格と通信料金の内訳が不明確だった。そこで総務省の「モバイルビジネス研究会」はその内訳を明確にした「分離プラン」の導入を提言していた。

 両社が今回導入する新料金プランはこの分離プランをくんだもの。端末の販売補助金付きで現行料金プランを適用するコースと,端末補助金なしで低廉な料金プランを利用できるコースの2種類を用意する。前者は従来モデルに相当。後者は分離プランを含んだ新モデルになる。

KDDIは端末補助金付きが得

 両社の各コースを比べると,KDDIは従来モデル,NTTドコモは新モデルを重視した体系となっている(図1)。

図1●KDDIとNTTドコモが新たに導入する端末販売モデル
図1●KDDIとNTTドコモが新たに導入する端末販売モデル
KDDIとNTTドコモのそれぞれで二つのコースを比較すると,KDDIの場合は従来モデル,NTTドコモの場合は新モデルを選択した方がメリットが高いと推測される。

 KDDIは明言はしていないが,販売補助金が付いた従来モデル相当の「フルサポートコース」を選んだ方が得するユーザーは多そうだ。新モデル「シンプルコース」で導入する新料金プラン「シンプルプラン」は,月額基本料こそ1050円からと安価。だが,現行料金プラン向けの割引サービスを適用できないほか,無料通話分も含まない。

 このため,端末補助金の有無に関係なく,フルサポートコースの料金と比べただけでも割高になるケースがある。毎月の平均通話時間で試算してシンプルコースの方が安い場合も,2万1000円の端末割引がないことを考えると,トータルではフルサポートコースの方が安くなるケースが多いだろう。

NTTドコモは割賦販売を導入

 これに対してNTTドコモは販売補助金なしの新モデルである「バリューコース」を前面に販売していくという。従来モデルの「ベーシックコース」は,「分割払いによる端末の購入に抵抗感があり,かつ端末の購入価格を抑えたいユーザー向けの限られたプラン」(営業本部販売部の岩本和久・代理店戦略担当課長)との位置付けである。

 両コースを比べると,バリューコースを選択した方が端末購入価格と月額料金のトータルで安くなるユーザーが多そうだ。バリューコースから導入した料金プラン「バリュープラン」は月額基本料が現行の料金プランよりも一律1680円安い。「ファミ割MAX50」などの既存割引サービスを併用でき,現行の料金プランと同じ無料通話分も付く。もっともバリューコースは端末補助金が付かないので端末の購入価格は高くなる。そこで割賦販売方式で初期費用を抑える選択肢を用意した。

 なお,ソフトバンクモバイルは割賦販売方式の「新スーパーボーナス」で分離プランには既に対応済みという見解を示している。