PR

 NTTのNGNフィールド・トライアルでは,ネットワーク側の品質保証機能を活用するサービスが目立っている。米シスコとソニーは,それぞれHD映像と大画面を使ったビデオ会議システムを検証している(図1)。

図1●米シスコとソニーは,NGNフィールド・トライアルで広帯域を使用するビジュアル・コミュニケーション・システムを実証実験中
図1●米シスコとソニーは,NGNフィールド・トライアルで広帯域を使用するビジュアル・コミュニケーション・システムを実証実験中
NGNの品質保証によって,両社ともに安定した稼働を確認している。
[画像のクリックで拡大表示]

通信コストを大幅に削減可能に

 NTTはNGNの品質クラスとして,「最優先」,「高優先」,「優先」,「ベストエフォート」の4段階を用意する。最優先と高優先は,遅延やパケット・ロスの品質規定を明示しており,優先はベストエフォートよりも優先的にパケット転送を処理する。ベストエフォートには,パケット・ロスや遅延の規定値やパケットの優先転送がない。

 シスコとソニーはどちらも最優先レベルを使っている。シスコのテレプレゼンス・システム「Cisco TelePresence」は,HD映像で会議をする際には,3画面で合計15Mビット/秒以上の帯域を必要とする。

 トライアルでシスコは最優先品質で,端末側の解像度を720p1080p に変えて実験。2地点間だけでなく,3地点を結ぶ多地点会議でも検証した。いずれのケースも「問題なく稼働することを確認した」(島和弘サービスプロバイダーオペレーションズNTT営業エリアセールスマネージャ)。

 Cisco TelePresenceは,IP-VPNや広域イーサネットのほか,専用線での利用を前提としている。「空間を共有するためのシステム」(シスコ米国本社テレプレゼンスシステムビジネスユニットの菊田弘之シニアビジネスディベロップメントマネージャー)として企業に提案しているため,ネットワークが帯域やジッター,パケット・ロス,遅延時間などで一定の水準をクリアしない場合は,使用を認めないのだ。

 それだけに,NGNがテレプレゼンスで“使える”回線だと確認できた意義は大きい。「NGNを例えば1分間100円の従量課金で利用できると仮定すれば,週に1時間で月10回の頻度で使用しても,コストを専用線やIP-VPNよりも1けた抑えられる」(菊田マネージャー)という。

 ソニーも「HD双方向コミュニケーションシステム」の検証で,「パケット・ロスもなく高いネットワーク品質を確認できた」(B2Bソリューション事業本部技術開発部門デジタルリンク技術部の國頭義之担当部長)。

 HD双方向コミュニケーションシステムは,HD映像とステレオ音質の音声,データ通信で計約10Mビット/秒の帯域を使う。NGNトライアルでは,映像と音声の品質を最優先,データの品質を優先に設定して実験している。國頭担当部長は,インターネットとNGNを比較して,「インターネットだと,映像が流れ始めるまで我慢して待たなければならないことがある。その点,品質を保証したNGNでは映像を使いたいときに使える」と評価する。

シンプルな構成で網内遅延を短縮

 富士通はWeb会議システム「JoinMeeting」をNGN上で映像と音声を「最優先」,データを「優先」の品質クラスに設定して稼働させた。NGNフィールド・トライアルでは最優先の遅延時間を70ミリ秒に設定しているが,「遅延時間は数ミリ秒以内に収まった」(ネットワークサービス事業本部FENICSシステム統括部ASサービス部の志賀浩一プロジェクト課長)という。同システムをインターネット上で使う場合は「良くても30ミリ秒,悪ければ150ミリ秒」(志賀課長)。NGNによって大幅な改善を実感した。

 この理由を富士通は,「検証中のNGNがコアとエッジで多くても三つのルーターを経由するだけというシンプルな構成で,ホップ数が少ないからではないか」(ネットワークソリューション事業本部キャリアビジネス事業部の佐藤剃二郎プロジェクト部長)と推測する。

 複数のネットワークを経由するインターネットではホップ数が多くなるため,網内遅延を引き起こす。ホップ数が少ない構成だからこそ遅延時間を短縮できた(図2)。

図2●NGNはインターネットに比べてホップ数が少ないため,遅延を最小限に抑えられる
図2●NGNはインターネットに比べてホップ数が少ないため,遅延を最小限に抑えられる
富士通がNGNフィールド・トライアルで検証中の「JoinMeeting」では,「最優先」の品質クラスに設定して数ミリ秒の遅延に抑えられることを確認している。最優先の遅延時間の規定値は70ミリ秒。
[画像のクリックで拡大表示]