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 2005年11月に計画を発表したNTTグループのNGNがいよいよ,2008年3月に商用サービスを開始する。

 NTT以外にもKDDIは固定電話網のオールIP化を,ソフトバンクグループは固定網と携帯電話網を統合させたIPネットワークの構築を進めるなど,日本の通信事業者はこぞってNGNの商用サービスに向け準備している。

 商用化が迫る中,NGN関連のシステムやサービスの展示が増えてきた。10月上旬に千葉市美浜区の幕張メッセで開かれた「CEATEC JAPAN 2007」でも,NTT東日本や三菱電機がNGN関連のシステムやサービスを展示。直前に迫ったサービスをアピールした(写真1)。

写真1●CEATEC JAPAN 2007に登場したNGN関連の展示
写真1●CEATEC JAPAN 2007に登場したNGN関連の展示

 その一方,本誌が夏に実施した企業のネットワーク担当者向けの調査では,気になる結果が出た。「NGNについて理解している」との答えがわずか2割だったのだ。CEATECの会場でも,「展示内容を説明する以前に,NGNとは何かについての説明を求められることが多かった」(三菱電機)という。NGNは多くの企業に,まだ身近なものとして受け止められていないようだ。

インターネットの比較で見るNGNの潜在能力

 そこで今回の特集では,NGNを使うことで企業に何が可能となるのかを見ていくとする。同じIP技術をベースとするインターネットとの比較により,NGNが持つ特徴的な潜在能力が見えてくるはずだ(図1)。

図1●インターネットとの比較で浮かび上がるNGNの潜在能力
図1●インターネットとの比較で浮かび上がるNGNの潜在能力
NTTのNGNフィールド・トライアルでは,品質保証,セキュリティ,網側の機能を活用したシステムの検証が進んでいる。NTTはNGNの信頼性も高めている。
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 一つめは,通信事業者による「品質保証」である。ユーザーは,HDクラスの映像配信など広帯域を必要とするサービスを,遅延やパケット・ロスなどの影響を受けることなく,安定した環境で利用できる。この結果,ビデオ会議の最中に映像が乱れたり,中断したりするといったことがなくなる。インターネットでも同様のサービスを利用できるが,トラフィックが急増する時間帯などでは品質が劣化する可能性がある。

 二つめは「セキュリティ」だ。NGNは発信者番号を基に認証する「回線認証」と呼ぶ機能を備えており,なりすましなどの不正を防止する。不正アクセスや異常トラフィックを検知してブロックする機能もあらかじめ用意している。インターネットを使う場合とは異なり,VPN(仮想閉域網)装置などの機器を用意しなくても済ませられる可能性がある。

 三つめは,「網側にある多様な機能を開放」することだ。定められたインタフェース仕様に沿うことで,サービス・プロバイダは網側の機能を活用したサービスを新たに開発できる。例えば,網側のマルチキャスト通信機能を使ったコンテンツ配信サービスやプレゼンス機能と連動したWeb会議などが検証されている。

信頼性の向上で既存の電話網を置き換える

 NGNが備えるもう一つの特徴が,「信頼性」である。NTT第二部門次世代ネットワーク推進室の雄川一彦ネットワーク戦略担当部長は現在構築中のNGNについて,「20年に1時間しか故障しない電話網の信頼性に近付ける」という。

 具体的には,災害時など通話が集中した場合にトラフィックを制御して輻輳(ふくそう)を未然に防止し,ネットワーク機能の維持を図る制御システムを用意。通信回線や機能を冗長化することによって,トラブルが発生した際には瞬時に切り替えができるようにする。

 これらNGNの特徴は企業ユーザーにどれだけの価値をもたらせるのだろうか。実際のサービスが提供されないと検証が難しい信頼性を除き,品質保証とセキュリティ,網機能の開放の持つ潜在能力を,NTTのNGNフィールド・トライアルに参加したベンダーの生の声から明らかにしていく。

■変更履歴
最初の文章で,「2007年3月に商用サービスを開始する」としていましたが,サービス開始は「2008年3月」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2007/12/03 18:20]