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 地球温暖化の原因となるCO2を排出する原因として現在クローズアップされているのが,IT機器の消費電力である。諸悪の根源であるサーバー機やストレージといったIT機器自体の消費電力に加え,こうしたIT機器の発熱を冷却するのに必要な空調設備の消費電力が問題になっている。ベンダー各社は現在,積極的に消費電力を抑えたIT機器を商品化して市場に投入しようとしている。

 これまで,省電力と言えば,主に仮想化ソフトの適用や運用管理ソフトの適用,ハードウエアが備える各種の運用管理機能などによるIT機器の利用効率の向上,というアプローチが採られてきた。CPU使用率を高く維持するなどIT機器のアイドリング運転状態を減らすことで,電力が無駄に消費されることを防ぐ,というものだ。動いていないリソースに電力が消費されるのは無駄以外の何物でもないからだ。

 そしてこれからは,いよいよハードウエアにもメスが入る。新たな半導体チップを設計/開発するという大袈裟な話ではなく,もっと簡単に電力を抑える方法があるのだ。それは,「高額だが消費電力は低い部品」を積極的に採用するという方法である。「なんだそんなことか」と思われるかもしれないが,こうした試みが実際に省電力を目的に製品化されるようになったのは,つい最近のことである。

 記者がまず注目したのは,NECが今年の5月28日に出荷したラックマウント型PCサーバー「Express5800/iモデル」の目玉商品「1Uハーフ・モデル」である(関連記事1関連記事2)。この製品は,コモディティ・サーバーの省電力化という意味で,実にエポック・メイキングな製品となった。

 1Uハーフ・モデルとは,その名前の通り,奥行きを半分とすることで,高さ1Uのラックに2台のサーバー機を収容可能としたモデルである。主な目的は,1台分のスペースに2台を収容してラックへの集積度を高めるというもの。集積度を上げれば上げるほど冷却が大変になるが,NECではCPUの省電力化によってこの問題をクリアした。

 キモとなるCPUの省電力化の方法が感動的である。サーバー機でありながら,ノート型パソコン向けに作られた省電力型のCPUを採用したのである。当然だが,同じ性能であれば消費電力が少ない方が“高級”であり,価格が高い。

 省電力を実現するためには,価格当たりの性能が下がる高級なCPUを搭載しても構わない。省電力とは,余計にお金を投資してでも欲しい,譲れないブランドであり価値なのだ---。NECのこのサーバー機が社会や消費者に対して発しているメッセージは,このようなものだろう。わざわざノート用に作られた特別バージョンの高級CPUを採用する時点で,従来のPCサーバー作りの世界とは違う心意気が感じられるというものだ。

 このケースは,「同時期に出荷されているCPUのうち,主にノート用に用意されている高級版のCPUを採用する」というCPUサイドの解決策である。一方,別の機会に記事化した日立製作所の省電力型PCサーバー「HA8000-esシリーズ」では,ハードディスク側での解決策が示され,記者は感動のあまり唸ってしまった(関連記事)。なんと,通常の3.5インチ大のディスクではなく,ノート型PC向けの2.5インチ大のディスクを省電力を目的に採用していたのだ。当然だが,同じ容量ならノート型のディスクの方が“高級”である。

 この考え方をさらに一歩進めると,磁気ディスクを使わずに半導体ディスクを使う“超高級バージョン”もあり得る。実際,すでに2.5インチ型ディスクの採用も半導体ディスクの採用も,省電力を目的に掲げたディスク側からの解決方法として,一般化してきている。