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 NGNのキラー・サービスとして期待を集める「IPTV」。定義はいろいろあるが,IP伝送路を使って家庭のテレビに映像を配信するサービスの総称として認識されている。

 IPTVサービスは,加入者数が少なく市場は立ち上がっていないものの,ここにきて急展開を見せている。これまでの課題をことごとく改善した「次世代IPTVサービス」が,2008年に登場する見込みとなったのだ(図1)。

図1●これまでのIPTVの課題を解消した「次世代IPTVサービス」が2008年に登場する見込み
図1●これまでのIPTVの課題を解消した「次世代IPTVサービス」が2008年に登場する見込み
NTTグループのNGN商用化と歩調を合わせながら議論が進んでいる。通信事業者は次世代IPTVサービスによって,今度こそIPTV市場を立ち上げたい考え。
 

 最大の動きはバラバラだったIPTVの端末仕様が国内で標準化される見通しとなったことだ。ユーザーは国内標準仕様のテレビやセットトップ・ボックス(STB)で,異なる事業者が提供するIPTVサービスを楽しめるようになる。

 二つめの動きは,地上デジタル放送のIP再送信を実現できる可能性が見えてきたことである。これまではNTTグループが12月末までの実験という位置付けで,限られたユーザーに対して実施してきた。その枠組みについて,10月に大きな前進があった。

 三つめは,競争を繰り広げてきた大手通信事業者3社が,次世代IPTVで歩調を合わせたこと。NTT,KDDI,ソフトバンクの3グループがこの10月に国内標準仕様の端末採用を明言し,地上波のIP再送信の実施に向け前向きな姿勢を打ち出した。3社の協調は今度こそIPTV市場を立ち上げたいという思いにほかならない。

 次世代IPTVサービスの議論が進んだ背景にあるのは,2008年3月に予定するNTTグループのNGN商用化である。現在NGNフィールド・トライアルで実施している映像配信トライアルの仕様は,国内における標準仕様のベースになっている。IPTV市場を立ち上げる千載一遇のそして最後のチャンスが,2008年にやってくる。

課題が山積していたIPTV

 テレビを対象としたIPTVサービスは,国内ではオン・デマンド・ティービーやKDDIなどが提供している。しかし開始から4年近くが経過した現在,各社を合計した加入者数は20万~30万と見られる(図2)。地上波放送が全国で3754万世帯で視聴され,ケーブルテレビ(CATV)が2061万加入(数値は総務省の「情報通信白書 平成19年度版」から)であるのと比べて,あまりに少ない数と言える。

図2●現行のIPTVサービスは苦戦
図2●現行のIPTVサービスは苦戦
全体的に加入者数は低迷。関係者の話を総合すると,日本国内での総加入者数は20万~30万人とどまると見られる。

 市場が伸び悩んだ理由は,権利処理の難しさから地上デジタル放送の再送信が不可能だったことや,CATVに比べてサービス内容が見劣りしていたことなどがあった。さらに通信事業者にとっては,STBの仕様が各社でバラバラだったため,スケールメリットを出しづらいという事情もあった。

 これら山積していた課題をクリアすれば,IPTV市場が立ち上がるという思いを通信事業者は抱き続けてきた。それがようやく現実になりつつある。特にNGN商用化が目前のNTTグループは,高品質なNGNのメリットを分かりやすく訴求できるのはテレビ向け映像配信だと見ている。先に公開されたNGNフィールド・トライアルのアンケートの中でも,地上波放送のIP再送信は高い人気を得ていた。

 「テレビに標準仕様のIPTV機能を搭載することで,ユーザーが手軽にサービスに触れられるようにしたい」(NTTサイバーソリューション研究所第一推進プロジェクトメディア流通DPディレクタの川添雄彦主幹研究員)──。これこそが次世代IPTVサービスに対して通信事業者が抱く理想像だ。