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 前回のインストール編に続き,今回は歌に挑戦する。とりあえず既存の曲で入力作業に挑戦してみた。童謡などはよく試みられているのでここはひねりをきかせて「蘇州夜曲」を選ぶ。メロディは入力できたが,細かい抑揚がうまくいかないので,知り合いのプロに教えを仰ぐことに。音楽プロダクション,ヌーマン所属の作曲家,ハヤシベアキコ氏を訪ねた。

著作権に注意

 ところがいきなりハヤシベ氏に「蘇州夜曲は著作権が保護されている楽曲」と指摘されてしまった。氏の指示でJASRAC(財団法人日本音楽著作権協会)の「作品データベース検索サービス」を利用して,著作権の委任状態を確認すると,たしかに権利は保護されている。昔の曲だと思って確認を怠ってはいけない。ハヤシベ氏は「JASRACに登録されていない曲でも,プロアマ問わず著作者の死後50年経過していない楽曲のすべてに著作権は発生している。ネットで流すつもりならばオリジナルの楽曲が適切」と述べた。

 そこで急遽オリジナル曲を作ることになった。歌詞は筆者が,曲はハヤシベ氏が担当する。当初「SWDはポータルサイトです」のような説明調の歌詞を考えたが「ポピュラーソングの場合,『愛してる』など,感情を乗せやすい言葉を取り入れないとメロディが生まれにくい」とアドバイスをもらう。試行錯誤の末以下の歌詞とした。

アイの歌(作詞:矢野りん/作曲:ハヤシベアキコ)

愛してる
ITpro
ひとりじゃないのよ
きっとあなたに会える…

 次にハヤシベ氏の作ったメロディに沿って音符を入力する作業に入る。VOCALOID2を起動した。画面左に見える縦方向の鍵盤で音階を確認しながら,必要な継続時間ぶんだけ単音を鉛筆ツールで書き込んでいく(図1)。グリッド上部の数字は小節を表している。「アイの歌」は全部で8小節の長さだ。小節を刻むグリッドは1マスで1拍を表している。拍の長さは設定で変更できる。

図1:VOCALOID2 Editorの編集画面。一つの四角形が一つの音符に当たる。マウスを使って音を一つずつ入力していく

 メロディを確認する目的で音を出してみた。歌詞はデフォルトで「あ」になる。このとき,音と音が重なると警告が出る。編集画面で定義できるのは一人のボーカルの歌唱のみ。一人でハモる(和音で歌う)ことができないのと同じことである。もしコーラスを入れるなど重唱させたい場合はMicrosoft Excelで新しいシートを作る操作とよく似た手順でボーカルを追加しよう。

 次に歌詞を入れる。音をダブルクリックすると入力カーソルが出るので,そこに「あ」「い」「し」「て」「る」といった具合に単音に対して歌詞を入れる。日本語にある拗音を伴った発音は1音として認識してくれる。作例の場合「じゃ」の部分だ。「アイティー」もクリアした。これで歌い出してくれるはずだ。

「アイの歌」(mp3ファイル)

 試聴してびっくり。まるでロボットボイスでイキイキ感がない。この状態に対しハヤシベ氏は,まず譜面通りに音を出していることが不自然さの原因の一つと解説した。人間が歌う場合,声を出すタイミングに個性が出るものだという。いわゆる「タメ」や「ノリ」のことだ。言われてみればその通りである。微妙なズレこそ人間らしさを感じるポイントだ。指示に従い微妙なズレを作る。