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 一方、調査員Aは、「エコウィルは発電できるが電気はためておけない。つまり、電力消費の多い時間帯に湯が作られる。使い勝手での面でネックになるのでは」と注文を付ける。安井副学長も、「近所同士で電力や湯を融通し合えれば有効利用できるのだが…」と追随した。

 さらに調査員が注目したのは、風呂1回分のコストだ。エコキュートは電力会社が設定する破格の深夜料金を前提に夜間に湯を作るので、コストでは優位性が際立つ。調査員Bは、「これだけ深夜料金が安ければ、エコキュート自体が高額でも元が取れる。給湯器の選択に当たってこの価格差は決定的では」と驚く。

 安井副学長は「環境性能、コスト、使い勝手など総合的に判断すれば、エコキュートは最もバランスの取れた給湯器と言える」と感想を述べ、「ただし、現状では有力な選択肢と言えるだけだが」と含みを持たせた。

ガスとの決別は避けるべき

 安井副学長が含みを持たせたのには理由がある。

 今回の計算で使ったエコキュートのCOP値は、業界最高とされる4.9。しかし、使用条件次第でCOP値が3を切り、発電効率と掛け合わせた1次エネルギーの利用効率が100%に近づく場合も考えられる。片やガス給湯器には、エネルギー利用効率が95%とされる潜熱回収型の高効率ガス給湯器「エコジョーズ」も登場しており、エコキュートの優位性は大差とは言えなくなる。

 エコキュートの最後のとりでは深夜料金の安さだが、いずれ登場しそうな家庭用コンセントで充電できる「プラグインハイブリッド車」が普及すれば夜間の蓄電需要が増し、低料金の維持は危うい。夜間も運転を止めない原子力発電所があればこその料金体系だが、原子力発電所の増設が許容されるかどうかも流動的だ。

 調査員Bは、「将来が不確実である以上、エネルギー源の多様性は堅持したい。少なくとも、ガス管を絶ってまでオール電化を選択するのは避けるのが賢明」と注意を促す。

 最後に安井副学長は、「少数派だろうが、私のように太陽熱温水器を選ぶ人が増えてもいいのではないか。エコキュートがベターな選択なのは確かだが、ベストとも言い切れない」と、柔軟な判断を求めた。

今月の評価

                 
  安井至・主席調査員   安井至・主席調査員
太陽熱温水器の集熱板とエコキュートを合体させたシステムが現実にできれば、電力消費はさらに少なくなり、究極の給湯器になる。現状のエコキュートの優位は暫定的
  調査員A   調査員A
使い勝手、コスト、環境性能、いずれもエコキュートが勝る。ただし、エコウィルで発電した電力を電力会社に売電できるようになれば、エコウィルの魅力も出てくる
 
                 
  調査員B   調査員B
エコキュートのメリットは、深夜電力料金の安さに大きく依存している。エコロジーというよりエコノミーなシステム。ガス側にはコスト競争力を備える努力を望む
  調査員C   調査員C
風呂好きで湯をたくさん使う日本ならではの製品。優れた省エネ給湯器と評価できるが、だからといってオール電化に踏み切るのは早計だ。ガスの良さも残しておきたい