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 8回にわたって、日経コンピュータが第2回「企業のIT力」ランキングを作成する際に着目した8つの視点について1つずつ取り上げていく(→100位までの総合ランキングと調査の詳細はこちらの記事を参照)。4回目は、「ベンダー選定」を取り上げる。ベンダー選定の過程でどのようなルールを設けているか、価格の妥当性をどのように評価しているかなどを7個の設問(調査票から「IT力」の算出に使った質問を抜き出して柱ごとにまとめた「抜粋版」)で聞いた。結果は、大和証券グループ本社が1位、次いでトヨタ自動車、損害保険ジャパンとなった。

「ベンダー選定」ランキング

順位 企業名 偏差値
1 大和証券グループ本社 72.74
2 トヨタ自動車 71.67
3 損害保険ジャパン 71.32
4 日立製作所 71.22
5 セブン-イレブン・ジャパン 70.35
6 富士ゼロックス 70.28
7 住友電気工業 70.15
8 ホンダ 69.52
9 松下電器産業 69.11
10 大成建設 68.17



第1位 大和証券グループ本社

 大和証券は価格、システムの機能、運用・管理の容易さ、セキュリティなどの項目をそれぞれ点数化して評価する。定量的な評価だけでなく、使いやすさといった定性的な評価も数値化している。各項目には優先度に応じて重み付けをして総得点を計算し、最も高い評価を獲得したベンダーと契約するのだ。

 評価項目の中でも、ベンダーが提示する価格の妥当性評価は重要な項目だ。大和証券は見積りを複数のベンダーに依頼することをルール化しており、「どんな案件でも、最低3社にはRFP(提案依頼書)を出す」(大和証券SMBCの村里耕二システム企画部長)。現在取引のある開発ベンダーは15社ほど。ベンダーが提示した価格については、システム子会社の大和総研が実勢価格と照らし合わせて検討し、適切な値段かどうかのアドバイスをする。

 ベンダー選定が済んだ後も、交渉は終わらない。例えば「価格の交渉を外資系ベンダーとする場合、本国まで出向いてトップと直談判することもある」(村里部長)。ただ、闇雲に価格を引き下げるよう要求するわけではない。これこれの理由で、価格はここまで下げられるはずだといった根拠を必ず示す。また、相手が納得せざるを得ない根拠を示すことで、ベンダーの営業担当者が社内に戻った後も、うまく周囲を説得できるはずだと考えているという。

 大和証券の交渉は価格のみにとどまらない。時にはハードやソフトの仕様変更に及ぶ場合もある。村里部長は「価格にしても仕様にしても、自分たちのニーズに合わないものは必要ない。ニーズに合うまでは徹底して交渉する」と話す。


第2位 トヨタ自動車

 2位のトヨタ自動車も大和証券と同じく見積りは複数ベンダーに依頼している。ただ、トヨタのような規模の企業になると、取引をするベンダーもおのずと限られる。グローバルでサポートでの体制が整っていることが前提条件となるからだ。

 トヨタはシステムに20年の安定稼働を求めるため、ベンダーには徹底した品質向上を要求する。10年以上先に構築するシステムに関しても常に検討しているため、ベンダーはその時期にはどんな技術を提供できるかしっかりと把握し、説明できなくてはならない。価格の妥当性評価も実施しているが、それよりも自動車の開発力と直結するような最新技術をどれだけ取り入れられるかといったことがベンダーを選ぶうえで重要になるのだ。

 システム開発の際は「ブルー本」「ピンク本」と呼んでいる2つ独自作成のマニュアルを用いる。ピンク本にはシステム化案件の構想立案や企画の進め方が、ブルー本には開発方法論やプロジェクト管理手法などシステム構築にかかわる規定がまとめてある。トヨタは自社のIT部門だけでなく、開発ベンダーにもこれらのルールを順守するよう徹底して指導する。当然、ルールを守れないベンダーとは契約しない。


第3位 損害保険ジャパン

 損保ジャパンもベンダー提示価格の妥当性評価は徹底して取り組んでいる。 ベンダーには、提示した価格の根拠をファンクション・ポイント(FP)を使って説明するよう求める。IT部門も、過去の開発実績を基にFPから妥当な価格を計算し、これくらいの価格が提示されるだろうといったことを把握したうえで、交渉に臨んでいる。

 現在の取引ベンダーは45社ほど。運用はすべて日本IBMにアウトソーシングしているが、開発に関しては複数社に見積りを依頼し、その結果を見てベンダーを選定する。