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 総務省は2007年12月中にも,通信分野における競争状況の評価で,「通信サービスのプラットフォーム機能」を新たに取り上げるための分析を開始する計画である。これに先立ち,プラットフォーム機能が事業者間競争に及ぼしている影響について,10月26日から約1カ月間提案を募集し,その結果を11月30日に公表した。総務省は,寄せられた提案を基に今後,プラットフォーム機能の競争状況を分析する意向である。提案募集では大手通信事業者のほか通信事業者以外の企業,業界団体などから合計28件の提案が寄せられた。

 総務省が今回取り上げたプラットフォーム機能とは,通信サービスと組み合わされた認証や課金,コンテンツ保護,通信品質保証といった機能のことである。通信事業者はこれらの機能を,自社のネットワークや端末と統合して提供することでサービスの利便性を高め,顧客を囲い込む効果を生んでいる。こうした実態から総務省は,プラットフォーム機能が下位レイヤーや上位レイヤーの市場もまとめ上げる働きをもたらし,事業者間の競争に影響を与えているのではないかとみている。

 例えば携帯電話のデータ通信サービスでは,位置情報通知機能や課金管理,決済手段などのサービス開発に重要な機能は,通信事業者が一定のコントロールを行っている面がある。コンテンツプロバイダーは,通信事業者が提供する条件に合わせたコンテンツ提供や課金しかできない。

 こうした状況に対して総務省は,プラットフォーム機能を開放して外部の企業に貸し出したり,プラットフォーム同士が連携するようになれば,新たなサービスや新規参入事業者が登場し,市場が活性化する可能性が高まるとみているようだ。これに対して既存の通信事業者などは今回の提案で,慎重な姿勢を示した。プラットフォーム機能は常にネットワークと一体で提供されるものではなく,米Appleの音楽配信サービス「iTunes」と携帯型音楽プレイヤーの「iPod」のように,「サーバーと端末だけでも強力な市場占有率を持つサービスが開発可能」というのである。「ネットワークを主体とする通信事業者の事業モデルをベースにして,プラットフォーム機能の範囲を定めることは難しいのではないか」という意見が目立った。

 iPodの例に限らずインターネット上では,マイクロソフトのメッセンジャー機能や米Googleの検索サイト,認証・決済機能を持つ楽天やヤフーのサイトなど,様々なプラットフォームサービスが存在する。通信事業者もそれらのプレイヤーと競争しながら,自社のサービスを開発している側面もある。総務省の管轄である通信事業だけを対象に,プラットフォームを開放させる政策的な手当が必要なのかどうかは,大きな議論となりそうだ。