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 インドのITベンダー最大手6社“SWITCH”の「T」であるタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)は、インド最大のITベンダーである。2006年度(3月期)の売上高は前年度比41%増の43億ドル、従業員数は約9万人だった。1968年創業のTCSは、インド最大の財閥タタ・グループのIT部隊である。TCSの歴史は、インドIT業界の歴史でもある。

12億ドルのアウトソーシングを受注

 TCSは、02年度にインドのITベンダー初の年間売上高10億ドルを達成した。06年度第3四半期には、やはりインドITベンダーとしては初めて、四半期に10億ドルを売り上げている。ある調査によれば、04年度にTCSは全世界のITベンダーの中で売上高12位だった。同社は10年までにトップ10入りを目指す。

 世界に800社以上の顧客を抱え、主要顧客には、AIG、シティバンク、GE(ゼネラル・エレクトリック)、モルガン・スタンレーなどの米大手企業が名を連ねる。日本ではNEC、NTT、東芝、新生銀行などが顧客だ。07年10月には、オランダの大手調査会社ニールセン・カンパニーから10年間の情報システムとインフラの開発保守のアウトソーシングを12億ドルで受注したと発表している。ニールセンのインド拠点をTCSが引き継ぎ、インドにおける調査業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)も受け持つという。

 営業拠点数は世界50カ国に170あり、開発センターを86カ所構える。インド国内にある開発センターは、バンガロール、コルカタ(旧カルカッタ)、チェンナイ、デリー、ハイデラバード、ムンバイ(旧ボンベイ)、ラクナウ、プネの9都市にあり、合計で31カ所の個別ユーザー向けオフショア開発センター(ODC)を設けている。06年から07年にかけては、モロッコやスペインにも、それぞれ500人規模のODCを立ち上げた。さらに中国のODCでは、現在の800人体制を12年までに5000人規模に拡大させる計画がある。

グループ内からビジネス要求を吸い上げる

 TCSは、インド最大の財閥であるタタ・グループに属する。グループ企業には、タタ・スティールやタタ・モータース、タタ・パワー、タタ・ティーなどがある。1868年にジャムセジ・タタが興した商社に端を発するタタ・グループは、インドの独立・発展と歩調を合わせ、国家建設をビジネス・チャンスに成長し、80カ国以上で事業展開している。06年度時点で、グループの規模は7部門98社、従業員数は約28万9500人となり、売上高はインドGDPの3.2%に相当する288億ドルに達した。

 このグループの総合力が、TCSの強みにもなっている。タタ・グループ全体の研究開発部門は、各部門のエキスパートを集め、3~5年先の事業展開を見据えた技術やサービス、プロセスを研究。さらに各企業が研究開発拠点となる「CoE(センター・オブ・エクセレンス)」を立ち上げ、1~2年先の商品開発などを実施しているという。TCSにおいても、事業の中核にいるビジネス側の人々が要求を考えることで、それを満たすパッケージやソリューション、プロセスやツールを開発している。

アジア太平洋法人社長と日本法人会長を兼務するギリジャ・パンデ氏
写真1●アジア太平洋法人社長と日本法人会長を兼務するギリジャ・パンデ氏

 「このCoEが考案したソリューションのコストと納期を守っていることが、TCSの強みだ」と、TCSのアジア太平洋法人社長兼日本法人会長のギリジャ・パンデ氏は話す(写真1)。「過去2年間、2500のプロジェクトの96.63%で、納期とコストを守って本稼働させている」(同)という。

 納期と品質の高い順守率を支えているのが、プロジェクトマネジメント力だ。インドに31あるすべてのODCで、CMMI(能力成熟度モデル統合)の最高位を取得している。加えて、インド工科大学(IIT)の卒業生10%を確保できるリクルート活動と、売上高の6%を教育に投資していることなどが貢献している。パンデ会長は、「納期とコストを守っていけば、顧客はまたTCSを選択してくれる」と強調する。