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 Web2.0関連技術を取り入れたグループウエアを開発・提供する米ジンブラのスコット・ディッツェン社長 兼 CTO(最高技術責任者)に、現在のシステム連携が抱える問題点や、その解決手段を聞いた。同氏はWebアプリケーション・サーバーのWebLogic(現 米BEAシステムズ)を創業。J2EE(現 Java EE)の開発に携わった人物でもある。現在のITの基盤技術に深くかかわってきたディッツェン氏が注目するのは、「Web2.0の技術を応用したエンタープライズ・マッシュアップ」だという。(聞き手:中村 建助=日経コンピュータ)


今後どんな技術やWebサービスが重要になると考えるのか。

米ジンブラ 社長兼CTO スコット・ディッツェン氏
米ジンブラ 社長兼CTO スコット・ディッツェン氏

 まずはインスタント・メッセージ(IM)だ。個人や組織の生産性を高めるには、コラボレーションの改善や効率化が不可欠。そのために最も重要になるのはIMだろう。

 若い世代の技術者らと話していると、彼らは電子メールをもはや恐竜のような存在と見なしている。利用者の現在の状態を知るプレゼンス機能、文字や音声を使ったリアルタイムの会話など、電子メールではできないコミュニケーションを積極的に活用しているのだ。電子メールがなくなることはないが、IMの重要性は急速に増すだろう。

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にも注目している。SNSの発想自体は、目新しいものではない。IMのバディ(友人)リストや電子メールのメーリング・リストなど、特定の閉じたグループの中で情報を共有する手段は、これまでにもあった。しかし参加者の知恵を集積しやすいSNSは、現在のような情報過多の時代にあって、情報の価値観や優先順位を判断するための、有効な手段になり得る。ZCSのようなツールとSNSが連携すれば、より効果的な情報共有や協調作業が可能になるはずだ。

それら新たな技術を活用して、ジンブラはどのようなコラボレーションを目指すのか。

 Webサービス同士を組み合わせる手法であるマッシュアップを、企業情報システムに適用する。機能や役割に応じて、社内の情報システムや社外のWebサービスを組み合わせて、新たなシステムを開発したり、ビジネス・プロセス連携などを実現する。技術的には、SOAPやRESTといったWebサービス間連携の技術仕様に基づいて連携する。当社はこれを「エンタープライズ・マッシュアップ」と呼んでいる。

 元々Webサービスのマッシュアップは、コンシューマ向けのサービス同士を組み合わせることからスタートした。同じ手法を企業情報システムに応用した。

 当社が開発・提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の「Zimbra Collaboration Suite(ZCS)」は、こうしたエンタープライズ・マッシュアップを可能にする。電子メール・ソフトを中心に社内システムや社外のWebサービスを連携動作させる。メールの文中にある単語を自動認識して、マッシュアップしたWebサービスやスケジューラに渡すことができる。

 ZCSでは、メール文中の日付や住所をキーワードとして認識して、それにマウスを重ねると、対応させておいたシステムやWebサービスから情報を取得して表示できる。認識する単語の条件や連携させるシステムは、ユーザー企業が独自に設定できる。例えば顧客番号を認識するように設定しておき、CRMシステムから対応する顧客の情報を取得して表示したりできる。

電子メールを中心にすると、どんな利点があるのか

 オフィスにおけるほとんどの仕事は、電子メールが起点になって始まる。電子メールはWebが誕生する以前から利用されている、必須のコミュニケーション・ツール。会議のスケジュール調整、取引先とのやり取りやその結果報告、社内の他部署への問い合わせなど、企業のあらゆる状況で使う。たいていの場合、従業員はメールを受け取ってから自分のスケジュールを確認したり、顧客データベースを検索したりして、仕事が進んでいくのではないか。

 ところが、現在は電子メールとその後に利用するシステム、Webサービスは断絶している。ZCSはこれらをスムーズに連携させることで、社員が個人の業務や他者とのコラボレーションに費やす時間を節約できるようにする。

 12月に提供開始予定の最新版ZCS 5.0では、このコラボレーション機能をより使いやすくする。現状は常にオンラインでないといけないが、ZCS 5.0ではオフライン状態でも、取り込んだメールを閲覧したり、文書を作成したりできるようにする。パソコンだけでなく、一般の携帯電話やスマートフォン、iPhoneでも利用可能にする。