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 電気自動車の開発が活発化している。課題とされた航続距離の短さをリチウムイオン電池や高効率モーターで克服しようと意気込む。二次電池の進歩と共に、それを安全に制御する技術が確立しつつある。

 9月2日、そごう横浜店に、電気自動車が並んで展示された。実用化に向けて試験走行を重ねる、三菱自動車の「アイミーブ」、富士重工業の「R1e」、そして2000年から数年間の販売実績を持つ日産自動車の「ハイパーミニ」の3台だ。

 同日に開催された電気自動車の普及に向けたフォーラムでは、これらの自動車メーカー3社のほかに、神奈川県知事や東京電力も加わって積極的に普及に取り組む姿勢を示した。

メーカー3社が開発に本腰新モーターで縦列駐車も楽々

図1●電気自動車の主な部品
図1●電気自動車の主な部品
電気自動車は、モーターと二次電池とそれらの制御装置などから成る。変速装置がないので、ガソリン車やディーゼル車に比べるとシンプル。インホイルモーターになるとモーターはタイヤに収納される。(イラスト/タジマヤスタカ)
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 二次電池の電気を使い、モーターで走る電気自動車は、走行中の排ガスがゼロ。電力会社の電気を充電した場合、内燃エンジン車に比べて化石燃料を運動エネルギーに変える効率が高くCO2削減効果も大きい。

 これまで国内では普及に向けた動きが2度あった。最近の90年代後半から始まった2度目の盛り上がりでは、ほとんどのメーカーが商品化し、電気自動車を使った共同利用(カーシェアリング)の実験なども各地で実施された。だが、実際に利用され始めると、1回の充電で連続走行できる距離(航続距離)がカタログ値より大幅に短く、充電時間も長いなど、多くの課題を露わにする結果になり、導入熱は次第に冷めていった。

 その後、三菱自動車では、電気自動車の開発担当者が十数人ほどまでに減らされ、縮小路線をとった。他社も同様に開発部隊を縮小したり、廃止に踏み切った。

図1●電気自動車保有台数(推定値)
図1●電気自動車保有台数(推定値)
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 だが、ここにきて3度目ともいえる盛り上がりを見せつつある。究極のエコカーといわれる燃料電池車の普及時期が見えないなか、CO2削減効果が大きく、インフラ面の普及障壁が相対的に低い電気自動車に自治体などが再び注目。電力会社も新たな需要用途として後押しし始めた。

 こうしたなか、冒頭の3社が、電気自動車の開発・販売に再び意欲を示し始め、最先端の技術を駆使した新型車を次々と発表し始めた。

 では、従来型の電気自動車に比べ、最新型はどう進化したのだろうか。

 従来型の課題は100kmに満たない航続距離にある。タケオカ自動車工芸(富山県富山市)は10年前から、2人乗り電気自動車「REVA」を販売している(型式区分は原動機付き自転車・4輪)。年間平均約20台以上を継続的に販売。今年初めには4人乗り改良型の「REVAクラシック」を発売した。車両価格は約195万円(48万円の補助制度あり)。

 「REVA」は、鉛電池を搭載し、誘導モーターで走行している。加減速はインバーターによってモーター回転数を変えることで制御する。航続距離はカタログ値で80km。街乗りなど狭い地域内の移動手段としては問題ないが、市場はまだ小さい。

写真1●「REVA」タケオカ自動車工芸が開発・販売。3年前からインド企業に製造を委託し、生産コストを下げている。鉛電池と誘導モーターを採用している   写真2●「アイミーブ」三菱自動車が、東京電力と共同開発した。リチウムイオン電池と永久磁石同期モーターを採用。実際に三菱自動車社長が公用車に使用
写真1●「REVA」タケオカ自動車工芸が開発・販売。3年前からインド企業に製造を委託し、生産コストを下げている。鉛電池と誘導モーターを採用している
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  写真2●「アイミーブ」三菱自動車が、東京電力と共同開発した。リチウムイオン電池と永久磁石同期モーターを採用。実際に三菱自動車社長が公用車に使用
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 一方、三菱自動車などの新型車は、最先端の二次電池であるリチウムイオン電池と、永久磁石同期型といわれる高効率モーターを採用している。電気自動車の欠点である航続距離の短さを克服しようとの狙いだ。これにより航続距離は100km以上に伸び、移動可能範囲が広がる。同社の「アイミーブ」は同160kmを目指している。

写真3●「ジラソーレ」オートイーブィジャパンがイタリアの企業と共同開発し、国内に輸入。運転席の下にリチウムイオン電池を設置している
写真3●「ジラソーレ」オートイーブィジャパンがイタリアの企業と共同開発し、国内に輸入。運転席の下にリチウムイオン電池を設置している
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 イタリアで共同開発した電気自動車を輸入販売するオートイーブィジャパン(東京都大田区)も、既にリチウムイオン電池を搭載した電気自動車「ジラソーレ」を商品化している。車両価格は約260万円(77万円の補助制度あり)。試験値ながら航続距離は120kmだ。

 加えてモーターの進化は、内燃エンジン車にはまねできない移動の仕方を可能にする。今年の東京モーターショーで発表された、日産のコンセプトカー「ピボ2」は「インホイルモーター」を搭載した。このモーターは、コイルをタイヤの内側に収めてしまったものだ。車内に駆動源(モーター)がなくなって室内が広く使えるうえ、タイヤを90度回転させれば、真横に移動できる。面倒な縦列駐車が簡単になる。

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