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 長年、IT産業をウオッチしてきただけでなく、ティム・オライリー氏は「Web2.0」の発案者である。同氏はWeb2.0によってソフトウエアやメディアが大きく変化していると指摘する。

Web2.0の企業情報システムへの影響についてはどう考えるか。Enterprise2.0という言葉を聞く機会も増えてきた。

 多くの人間がEnterprise2.0というのは、企業がブログやコンテンツ管理システムのWikiを使うことだと考えている。確かにこういったことは企業風土の改革によい影響を与えるだろう。米サン・マイクロシステムズのジョナサン・シュワルツCEO(最高経営責任者)のように自らのブログを公開している経営者もいる。

ブログやWikiを使うことが企業にとってのWeb2.0ではない

米オライリー・メディア創設者兼CEO ティム・オライリー氏
米オライリー・メディア創設者兼CEO ティム・オライリー氏

 だがWeb2.0の企業への影響でもっと重要なのは、データを収集して、それを利用者に向かい合ったサービスにすることだ。実例を挙げよう。グーグルのリアルタイム広告オークションがそうだ。グーグルは巨大なデータセンターを構築し、利用者から膨大な情報を収集している。そしてサービスをリアルタイムなものにすることで、利用者に大きな影響を与えている。

 銀行も巨大なデータセンターを構築し、さまざまな情報を利用者から集めている。それらはいくつものバックオフィスのシステムで別々に管理されており、利用者にそれほど大きな影響は与えていない。Web2.0の技術は、これらの情報を利用者に向かい合った新たなサービスに変えることができる。

 電話を利用したサービスについて考えて欲しい。私が使っている電話会社は、私がどんな人間に電話したかという情報をすべて記録している。最低でも1000人はいるだろう。この情報を使って「履歴データベース」というサービスを開始できる。たとえばサーバーで管理するアドレス帳を作ることも可能だろう。利用者にとって本当に便利なものだろう。通話回数の多い相手について自動的に追加することもできる。情報を持っていることでさまざまな機会が生まれるのだ。

 以前からこういったサービスは可能だったと考えるかもしれない。リアルタイムに可能にすることで、利用できる範囲が広がる。

 サプライチェーン管理の分野でも、こういった機会が生まれる。世界最大の小売業者である米ウォルマートは、取引先からの情報を可視化させれば統合的なサプライチェーンを作ることができる。サプライチェーンの分野についてもWeb2.0には大きな可能性がある。

 CRM(顧客情報管理)の分野では、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)から学べることがたくさんある。シンプルに使えるだけでなく画像を利用する。人間の画像の情報というものは名前だけの情報よりも力強いのだ。今はだれに会ったのかを含めていろいろなことを入力しなければならないが、まだまだ自動化できる面がある。

 マッシュアップの広がりが。バックオフィス・システムやIT部門に与える影響も無視できない。マッシュアップを用いることで、これらの部門がかかえるバックログを減らすことができる。効率的にアプリケーションを作ることができるようになるからだ。例えば最近、米IBMは「エンタープライズ・データ・マッシュアップ」という言葉を使い始めた。