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日経ソリューションビジネス 編集長
中村 建助
日経ソリューションビジネス 編集長 中村 建助

 過去10年以上にわたって,電子メールはWebブラウザと並ぶインターネット普及のキラー・アプリケーションだった。2008年には,電子メールに大きく依存した企業のITコミュニケーションの形が,変わっていくのではないか。

 確かに電子メールは便利なものだ。だが現在,ちょっとした報告から,共同での文書作成まで,とにかくメールの洪水である。最近ではメール依存の弊害を感じることも,少なくないだろう。

 特に複数で共同作業を進めようとすると,タイトルに「Re:」が,本文に「>」がいくつも重なっていく。添付ファイルを含めた検索能力も必要十分とは言い難い。電子メールは思っているほど便利なものではなくなった。

メールで共同作業は進めづらい

 もう1つ重要なのは,ベンダー側がポスト電子メールをにらんだ商品を積極的に展開していることである。

 元々は消費者向けだったブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス),ソーシャル・ニュース・サービスなどが企業の要求を満たす形でチューニングされたうえで,市場に登場してきた。全社の情報を効果的に集めるなら,企業向け検索ソフトを使う選択肢もある。これにより,1対1,あるいは1対nだけでなくメールの不得手なn対nのコミュニケーションが取りやすくなる。

 消費者向けに登場したWeb2.0と呼ばれる技術を生かした,次世代の企業情報システム像を「エンタープライズ2.0」と呼ぶことがある。06年がホップ,07年がステップだとすれば,08年はエンタープライズ2.0のジャンプの年になるはずだ。

 社員の生産性を向上させるうえで,情報共有は欠かせない。新たな情報共有の方法が一般化することで,電子メールの重要性が相対的に低下することになる。

伏兵,グーグルの攻略

 意外な存在感を示しそうなのが,検索の巨人であるグーグルの存在だ。同社は,SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)形式で提供するGmailを企業向けにも提供している。まず専任のシステム管理者の少ない中堅・中小企業向けにGmailを提供する方針だが,多言語表示に強い点を評価してグローバルでの導入を決めた大手企業もあるという。

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 日本の大手企業には,外部へ社内データを預けることへのアレルギーが強いという。だが,ITproの最新のWebアンケートでは,回答者全体の30%強がグループウエアや電子メールをSaaSとして利用しているか,検討中だと回答している。これはERP(統合基幹業務システム)やオフィス・ソフトといった分野を大きく上回る。グーグルのサービスが受け入れられる素地はできつつある。

 動画やインスタント・メッセージングを取り込んだユニファイド・コミュニケーションの流れも,電子メールへの過度な依存からの脱却を後押しする。CPUのマルチコア化に伴って,パソコンの動画処理機能が高度化するのに併せるように,低価格のテレビ電話会議システムなども登場してきた。これも,複数拠点間のコミュニケーションを補完するものとして期待できる。