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22歳以下の技術者が能力を競う技能五輪国際大会。39回を迎える今回は静岡県で開催された。今大会から正式種目となった,通信ケーブルの配線技術を競う「情報ネットワーク施工部門」で日本は金メダルを獲得。日本のブロードバンドが料金面だけでなく品質面でもトップ・レベルにあることを印象づけた。

 「1時間にどれだけ光ファイバを接合できるか」「オフィスのLANを素早く配線できるか」。そんな通信配線の施工技術を競う国際大会で,日本がトップの座に付いた。第39回技能五輪の情報ネットワーク施工部門で,日本代表の山口雄基選手(協和エクシオ)が1位を獲得。4位以下が468~494ポイントの間にひしめく中,2位台湾に29ポイント差を付けた金メダルとなった。

LANとFTTHを速く,正確に配線

 情報ネットワーク施工部門の課題は大きく三つ(図1)。(1)オフィス・ビルなどの構内配線を想定した「構内ケーブル配線施工」,(2)架空/地中配線を想定した「光ファイバ接続施工」,(3)宅内配線を想定した「マルチメディア配線施工」である。いずれも作業量はかなりのもの。すべての課題を終えたのは,1位の日本と2位台湾だけだった(表1)。

図1●第39回技能五輪国際大会情報ネットワーク施工部門の競技ブース
図1●第39回技能五輪国際大会情報ネットワーク施工部門の競技ブース
光ファイバやメタル・ケーブルの配線など三つの課題について,作業スピード,信号強度などを測定する客観評価,および配線の美しさなどを競う主観評価を基に点数を算出して順位を決める。競技時間は4日間(計22時間)。(写真提供:R&Mマーケティング・ホールディング)

表1●第39回技能五輪国際大会情報ネットワーク施工部門の順位表
順位 国・地域名 ポイント
1位(金) 日本 562
2位(銀) 台湾 533
3位(銅) ノルウェー 504
4位 韓国 494
5位 シンガポール 486
6位 スウェーデン 479
7位 オランダ 475
8位 ブラジル 468

 (1)はラックなどを光ファイバとメタル・ケーブルでつなぐ競技。(2)は1時間1本勝負のタイム・トライアルで,光クロージャ内への配線数を競う。(3)は光ファイバの終端処理や同軸ケーブルをいかに美観を損なわずに配線するかが勝負の鍵を握る。日本代表として舞台に上がった山口選手は「他の競技では時間配分が自由に効くが,光ファイバ施工は1時間で何本つなげるかが勝負なので精神的プレッシャーは大きかった」と競技を振り返る。

 山口選手は20時間弱で全作業を終了。スピードはもちろん,品質,美観検査で高得点を獲得して1位となった。速さと正確さを両立させる心構えとして「常に作業環境を整えておくことが大切」と山口選手は語る。

 技能五輪の情報ネットワーク施工部門は,前回のヘルシンキ大会ではデモ種目として実施。協和エクシオの小湊大輔選手が金メダルを獲得した。「前大会の結果はデモながら公式記録として扱われるため,日本は事実上の2連覇」(職業能力開発総合大学校の菊池拓男准教授)ということになる。

 競技を通じて互いにその技術を学ぶのが技能五輪の精神。「競技の様子をビデオで見るとコツが分かる。参加した国・地域および企業の力の差は確実に縮まってきている」(協和エクシオ アクセスエンジニアリング本部の熊谷文男・第一ブロードバンド事業部長兼NTTエンジニアリング部長)。技能五輪はインフラの構築技術底上げに一役買っているようだ。