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大西  一彦氏 ダイキン工業 ビジネスフロー革新部 IT推進担当部長与
写真●大西 一彦氏 ダイキン工業 ビジネスフロー革新部 IT推進担当部長
 (写真:竹内 由美子)
 

 システムの企画から開発、運用の各フェーズごとに、必要なノウハウや事業のコアを持っているSIerと組んでいくことが、ダイキン工業のやり方だ。このため、SIerには自分たちの得意分野や強み、あるいは企業戦略が見えるようなアピールを求めている。

 ところが、今はどのSIerも“普通”になってしまっている。各社とも狙っているところがすべて同じで、「ワンストップ」「マルチベンダー対応」「相互接続は完璧」などをうたい文句にしているからだ。こうしたSIerと一緒に仕事をしても、結局、「あれもできない」「これもできない」という状態に陥り、互いに不幸な結果を招いてしまう。

 そうならないためにも、どこが強みでどこが弱みなのかを、両者がしっかりと認識しておくことが不可欠と考えている。我々からすれば、隠されると必ず納期や品質にかかわってくるからだ。商談中のSIerにはいつも「無理していない?」と念押ししている。商談の段階だからこそ、無理なことは無理と正直に言ってもらいたい。無理だと分かればどこが無理なのかを確認できるし、必要ならその部分を得意とする他のSIerと組んでもらったらいい。逆に「できる」と言っておきながら、いざ一緒に仕事を始めてから「無理でした」と言うことは許されない。私自身が経営層にコミットメントしているわけで、SIerもそれと同じ認識を持つべきだ。

 これまで、多くのSIerと一緒に仕事をしてきた。彼らの中では、コンピュータメーカーなど製造業系のSIerが一番頼りになる。こうしたメーカー系のSIerは、メーカーが抱える特有の課題を、既に自社内で解決してきたノウハウを持っている。これが、同じ製造業の我々には大変参考になるからだ。例えば、国や地域ごとにばらばらだった製品コードの体系をグローバルで統一しようとした場合、「うちはこういう段取りで統一してきた」と、現場の混乱を抑えながら標準化を進めていくプロセスを心得ている。

 同じことをコンサルティングファームやシステム開発を専門に手がけるSIerに相談すると、「国際標準ではこういう仕様になっているので、御社もそれに合わせるべきです」と言われかねない。確かに、彼らは多種多様な業種を手がけてきた豊富なノウハウを持ち合わせている。しかし、製造業の現場を知る我々の目にはどうしても、“机上のSIer”と映ってしまう。

 メーカー系のSIerの営業担当者は、何かと箱を売りたがる。しかし、彼らがビジネスとしてとらえていない部分に、実は彼ら自身が気付いていない価値が隠れていると思う。ダイキン工業が今、メーカー系のSIerに求めている価値は、彼らが社内の生産現場などで取り組んだ業務改革とIT化のノウハウだ。実際、この前は自社の中で業務改革を推進してきた人材を、営業担当者に紹介してもらった。今は、次世代のIT戦略を立案するプロジェクトに、リーダーとして参加してもらっている。(談)