PR

 筆者は前回「Vistaが皆に『嫌われる』本当の理由は何なのか?(前編)」という記事の中で,人々がVistaを嫌う理由として考えられるものをいくつか列挙した。今回は,この問題について皆さんから寄せられた,Windows Vistaに関する様々な経験談やご意見と,それに対する筆者の考えの一部を凝縮して紹介する(関連記事:Windows Vista,その評判はいかに)。

 「VistaのUIはWindows XPのものと違う。アップグレードしようと思わせるだけの価値のあるものが,Vistaにはあまりないように感じる」。多くの人がこのように感じるのは当然のことだと筆者は思う。筆者が前にも述べたように,コンピュータ技術の変化のペースは昔よりも遅くなっている。そしておそらく,今後新しいWindowsバージョンがリリースされるたびに,提供される新機能は少なくなっていくだろう。

 XPは確かに非常に優れたOSだ。そして,2001年からWindows 7(2012年に登場するVistaの後継の現在の名称)の登場する2012年までの間に新たな変化が起こらなくても,世界は回り続け,私たちのビジネスも動き続けるはずだ。そして,私たちが困難に直面することもないだろう。だが,どうしてそれがVistaを嫌う正当な理由になるのか,筆者は未だに理解できない。たしかXPが登場したときも,XPのUIはWindows 2000のUIよりはるかに「わかりにくい」と痛烈に批判したユーザーは大勢いたはずだ。

 「VistaはXPよりも重い」(関連記事:Vistaが「遅い」と感じませんか?)。新しいOSが古いOSよりも重いというのは,ほぼすべてのOSに当てはまることだ。MicrosoftはVistaのことを,向こう約5年間使用できるデスクトップOSとして想定している。したがって,XPが最初にリリースされたときと同様に,その間のマシンの進化を計算に入れているのだ。XPが今速く感じられるのは,コンピュータ・ハードウエアが毎年少しずつ高速化しているからである。XPも初期の頃は,失敗作と酷評されたのだ。2012年にWindows 7がリリースされるとき,そのときのハードウエアではWindows 7よりもVistaのほうが軽快に動作するに違いない。これはすべての新OSに付き物の特徴なのだ。一つ目の理由と同様に,なぜこのことがVistaを「嫌う」理由になっているのか,筆者は理解できない。

 「Vistaで要求されるアクティベーションに憤りを感じる」。こういうことは言いたくないが,それは筆者が前から言っていたことだ。XPで製品アクティベーションが導入されたとき,筆者はその目的をすぐに理解した。つまりそれは,Microsoftの市場での売り上げを守るコピー・プロテクション・スキームなのだ。

 著作権物で生計を立てている人間として,筆者は自分の作品が盗まれるたびに怒りを感じる。しかし筆者は,自分の本を読んでくれる読者に対して,本を開く前に筆者に電話をかけて,彼らがお金を払ってその本を購入したことを「証明」するよう強制するだろうか? もちろんそんなことはしない。読者がそれを不快に感じ,怒りを覚えることがわかっているからだ。しかし,筆者が2001年に述べたように,Microsoftはカスタマーに対してそれができるのだ。そして,その理由はたった一つである。つまり,彼らが市場を独占しているからだ。2001年当時,彼らは独占力を乱用して,製品アクティベーションを私たちに押し付けた。そして,それは今回も同じである。

 その一方でMicrosoftは,大口のカスタマーに製品アクティベーションを押し付けるだけの力は自分たちにないということをわかっていた。彼らがボリューム・カスタマーに対して,事実上アクティベーションを避けられるようにしたのはそのためである。筆者は当時,これは分割統治戦略である,と主張した。そして,XPの次のWindowsバージョンでは,ボリューム・カスタマーにもアクティベーションが義務付けられるだろう,と予測したのである。筆者の予測は正しかった。ただし,部分的にではあるが…。

 ボリューム・カスタマーはキー・マネージメント・サーバー(KMS)・システムと呼ばれるものをインストールしなければならなくなったのだ。KMSは,いわば「認証を行うふり」をする。ボリューム・カスタマーのKMSは,Microsoftの製品認証サーバーが小売版のXPやVistaに対してすることを,ボリューム・カスタマーのVistaに対して行う。つまり,ボリューム・カスタマーが自らのWindowsを一定期間使用することを事実上「許可」するのだ。さらに,KMSサーバーは,自らが認証したシステムやその台数の記録さえ取らない。

 はたして,このようなシステムを使うことに意味はあるのだろうか? 筆者は次のように予測している。おそらくMicrosoftは,ボリューム・カスタマーに対して自前のMicrosoftアクティベーション・サーバーをオンサイトにホスティングするよう要求する日(Windows 7,それともWindows 8が出る頃か?)に備えて,ボリューム・カスタマーを少しずつ自分たちの側に引き寄せているのだ。

 だから,ボリューム・カスタマーに対するアクティベーション・ポリシーを理由にVistaを嫌っている人は,好きなだけVistaを憎めばよい。だがそういう人が本当に憎むべきなのはXPである,ということは覚えておいてほしい。なぜなら,この不快なアクティベーションを初めてホーム・ユーザーや小規模ビジネス・ユーザーに押し付けたのはXPだからである。

 筆者はまた自ら,Vistaにイライラさせられる理由に気づいた。それは,頻度が増したVistaの自動アップデートである。XPなどのOSがセキュリティ・アップデート群をダウンロードするのは,Patch Tuesday(毎月第2火曜日)だけのようだ。だがVistaの場合は,最低3日に1回はWindows Defenderアップデートをインストールできるように,システムの再起動を求められるのだ。Defenderのパターン・ファイル(ウイルス定義ファイル)をアップデートするのに,再起動が必要なのだろうか? そんなことはないはずだ。

 今後もVistaに関する皆様の経験談やご意見を聞かせてほしい。お便りをくれた人には,この場を借りて感謝したい。

Vistaが皆に「嫌われる」本当の理由は何なのか?(前編)