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NECソフトでは、ITパートナーとしての立場から、安心して使える情報システムを提供し続けることをミッションとしている。高度化・短納期化する顧客の要望により確実に応えるべく、2005年8月から「生産革新」を合言葉に品質第一を掲げた業務改革をスタート。経営、プロジェクト、現場の3つのレベルで、見える化やレビューを徹底し、生産性の向上と現場力の強化に着手した。講演では、活動の概要とこれまでの成果が報告された。

NEC ソフト 代表取締役 執行役員社長 国嶋 矩彦 氏
NEC ソフト
代表取締役 執行役員社長
国嶋 矩彦 氏

 NECグループにおいて、ソフトウエア開発とシステム・インテグレーション事業の中核を担うNECソフト。金融や製造などの業種別ソリューションを縦軸に、また業種横断的なIT・インターネット基盤技術などを提供するソリューションを横軸に、マトリクス型の事業展開で市場を拡大してきた。

 しかし、現状に甘んじることなく手綱を引き締め直すのは、NECソフトの代表取締役 執行役員社長である国嶋矩彦氏。「ITが経営と直結している昨今では、システムの信頼性やセキュリティなどの要求水準が高まる一方です。高度な顧客ニーズに対応できるIT人材の育成、そして情報サービス産業としての体質改善に日々まい進しなければなりません」。

 この思いを実行に移したのが、同社のソフトウエア開発における「生産革新」である。その発端となったのは、2005年8月の「蔵王の誓い」だ。

 NECグループの各ハードウエア生産工場では、トヨタグループのOBによる現地指導を受けながら、トヨタ生産方式の導入展開を図ってきた。その結果、各工場では3~6倍の生産性向上を達成。「社員の気概と成果を目の当たりにして、ハードウエアの生産ラインではここまでやっているのか、と驚嘆させられました。同時にソフトウエア開発においてもできないはずはない、徹底的に生産革新に挑戦しよう、と決心しました」(国嶋氏)。

 NECグループのソフトウエア子会社7社の社長が2005年8月、山形県・蔵王で開かれた合宿に参加し、「ソフトウエアの生産性を現状の2倍、世界トップクラスのソフト会社を目指す」という誓約が交わされた。これが「蔵王の誓い」である。

 「この誓いにある世界トップクラスとは、売上高や利益率もさることながら、経営・事業・社員の本質的な力の向上により、ソフトウエアの品質や社員の仕事に対する充実度でNo.1になろう、それにより顧客満足度を高め、会社の市場価値アップにつなげよう、という参加者の総意が込められています」と国嶋氏は述べる。

経営・プロジェクト・現場で見える化&レビューを徹底

 進め方としては「経営、プロジェクト、現場の3つのレベルで『見える化』と『レビュー』を徹底し、活動の進ちょくおよび実行状況をしっかりと把握することから始めました」と国嶋氏は述べる。

NECソフトの今後の展望
NECソフトの今後の展望

 経営レベルの見える化とレビューでは、BSC(Balanced Score Card)を活用。それまでの経営会議は予算差異の説明が中心で、実行された施策の進ちょく具合が見えにくかった。しかし、BSCにおける4つの視点(財務、顧客、プロセス、学習)で実行施策を分析したところ、戦略成功要因の深掘、問題の根本原因の追究、目標達成の対策案を具体的に検討できるようになった。

 「部長以上を対象にして、各組織は年度初めに計画を立て、トップにコミットします。年度内の経営会議は、KPI(重要業績評価指標)によって定量化された進捗結果をもとに討議が進められる場に変わりました」(国嶋氏)。

 プロジェクト・レベルでは、PMO(Project Management Office)を導入。全社PMOと部門PMOの2階層で年間数百以上に上るプロジェクトをすべてレビュー。双方の担当者が参加するPMO幹事会で重要プロジェクトを抽出し、QCDにおけるリスクの早期発見と問題の組織的対策を行った。

 現場レベルでは、改善(小集団)活動をスタート。2006年上期には2372人(299グループ)だった規模が、2007年上期には3223人(457グループ)に拡大した。「見える化ボードを活用するなどしてグループ内の情報共有を促進し、1人に負荷が集中しないように協力し合う、自律的なチーム内連携が進んでいます」と国嶋氏は述べる。組合が実施した従業員に対するアンケートでも、85%強が生産革新について前向きの評価を示しているという。

上工程で品質を作り込む「品質会計」でバグを減少

 生産革新の効果は早くも、2006年上期から1年以上を経て、活動の成果として実り始めている。

 まず、プロジェクト・マネジメントの質の向上において効果を上げたのは、プロジェクト・ナビゲータ(PN)の組織化と活用だ。品質保証部に20数人配置されたPNは、データベースを利用して情報を共有し、各プロジェクト・マネジャー(PM)を支援。PMはプロジェクト管理に専念できるようになり、プロジェクトが円滑に推進されている。

 品質・生産性の向上に関しては、NECグループ独自の品質管理手法「品質会計」を用いて上工程(コーディングまで)で品質を作り込むことを徹底。「上工程での成果物レビューによるバグ摘出を行い、レビューを経なければ次工程に移行できないルールとしました。各種ツールも活用した結果、上工程で十数%の品質向上、約30%の生産性向上が図れた事例もでてきました」(国嶋氏)。

 品質会計とは、ソフトウエア製造工程(コーディング)までに紛れ込んだバグを“負債”とみなし、レビューやテストによってこの負債を“返済”(バグ摘出)して、次工程に出荷する考え方。KPIでは、全バグの65%を上工程で消すという目標で、現時点は全プロジェクトの95%がこの目標を維持できるようになったという。

 「レビュー強化の支援と品質会計の普及においてはパートナー企業の協力が不可欠でした。また当社の海外子会社とも要員交流などを通じてノウハウを移転し、開発拠点として育成。内製化の促進につなげています」と国嶋氏は述べる。

 プロジェクトごとにばらつきがあった開発フレームワークも絞られてきた。

 「私も年間200以上のプロジェクトについて現場を巡回し、また全社の事例発表大会により工夫・改善例の共有を図っています。不採算損失金額は年々減少し、2007年上期は2003年下期の11%にまで減らすことができました。今後は、ソフトウエア開発の生産革新の成果を顧客満足度No.1に結び付けられるように、引き続き全社一丸となって取り組みます」と結んだ。