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「グループ全体で1つの生命体を目指し、シナジー効果を創出させたい」とアサヒビールの常務取締役 兼 常務執行役員である本山和夫氏は述べる。同社が経営の多角化を進める背景には、ビールの消費者ニーズの多様化や、少子高齢化などによる市場の縮小が挙げられる。この荒波を乗り越えるために、酒類やソフトドリンク、フード&ヘルスケアなどのビジネスを支える情報システムをIT部門と業務部門が一心同体となり再構築した。

アサヒビール 常務取締役 兼 常務執行役員 本山 和夫 氏
アサヒビール
常務取締役 兼 常務執行役員
本山 和夫 氏

 アサヒビールのグループ全体の売上高は、1兆4464億円(2006年度)。そのうち71%をビールなどの酒販が占め、飲料・ソフトドリンク(18%)が続く。近年では、フード&ヘルスケア分野のほか、中国を含めた国際(海外)事業を進展。また資本提携したカゴメと共同開発した新商品「トマーテ」などで市場を拡げる。2009年度の目標売上高は1兆6000億円だ。

 そのための成長シナリオは、酒類事業におけるアサヒブランドの基盤を整備することで、安定的かつ長期的なキャッシュフローを創出し、それらを新規事業に向けた積極投資やM&Aなどさらなる事業基盤の強化に振り向けていくことだ。


経営環境の変化に対応する柔軟な情報システムに刷新

 この動きに追従すべく「ビジネス基盤である社内の情報システムについても、経営環境の変化に即応できるものへ、全面的に再構築しました」と本山氏。1989年にアサヒビールの情報システム部門が独立したアサヒビジネスソリューションズに、システムの開発・運用を業務委託し、この6年間に販売物流をはじめ財務会計や生産管理などの主要システムを全面的に再構築した。「企業を車にたとえると、経営企画部門はビジネスの進む方向を決める前輪、IT部門は車を駆動する後輪です。いつでもドライバー(経営者)の判断や、環境変化に素早く応答できる柔軟性の高い態勢を整えることが求められます。それにはシステムを作り込み過ぎないことが大切です」(本山氏)。

ユーザー部門の目線でIT部門が課題を解決

 アサヒビールのIT部門では、次の点に重点的に取り組んだ。まずは安定運用に向けてSLA(Service Level Agreement)を設定。現在、稼働率は99.984%に達しているという。またセキュリティは毎年、社外の第三者機関による調査をもとに問題点を見直している。一方、ITに関連する固定費を削減し、新規投資を強化。IT投資における「固定:新規」の比率は、73:27(2002年)から54:46(2007年)へシフトし、“攻め”の色合いが強まっている。

 このような業務革新において、ユーザー部門と共同で課題を解決するIT部門のリーダーシップは社内でも一目置かれている。

 グループや海外の事業案件に加えて、IT部門が直接関与する独自案件も増加傾向にあるほどだ。現在同社では、経営システムの高度化に向けて、各マスター・コードの管理、データ・センターの統一化、データ・バックアップ・システムの整備などに着手。「グループのシナジー効果を高めるためには情報システム戦略について足並みをそろえることが不可欠です。また、M&AにおけるIT対応も重要であり、デューデリジェンス(事前調査)の段階で相手先のIT資産を精査する必要があると考えます」と本山氏は述べる。

 さらにIT部門の役割は広がりそうだ。社内向けだけでなく、インターネットなどを活用するBtoCにおける顧客接点強化や商品提案にも積極的に関与することが期待されている。「端的にいえば、顧客の期待するアサヒビールの姿と現状のギャップを小さくするのがIT部門の責務です。今後も業務を熟知し、ビジネスを語れるIT人材の育成を強化していきます」と語った。