PR

 現在,多くの企業がVistaへの移行を検討し始めているが,2007年末にこの複雑な問題をさらに複雑にするニュースが報じられた。米Devil Mountain SoftwareがOfficeBenchを使って,Windows Vista SP1とWindows XP SP3のプレリリース版のテストを行ったのだ。OfficeBenchは,Microsoft Officeを利用してシステムのパフォーマンスを計測するテスト用のスクリプトである。

 Devil Mountainはこのテストで,Vista SP1のパフォーマンスがVista RCと比較して全く向上していないこと,そしてXP SP3はXP SP2よりも10パーセント以上高速であることを発見した(XP SP3 was more than 10 percent faster than XP SP2)。しかし,本当に重要なのは次に述べることである。何とこの一連のテストで,XP SP3はVista RCやVista SP1よりもかなり高速であることがわかったのだ。

 MicrosoftでVistaのプロダクト・マネージャを務めるNick White氏は,このテスト結果に関して自身のブログに次のように記した。「プレリリース版ソフトウエアのベンチマークは,ソフトウエアのパフォーマンスを示す最高の指標ではない。開発途中のソフトウエアのテスト結果など,開発が進めば無意味なものになるからだ」。

 White氏はさらに次のように話す。「Windows Vista SP1のパフォーマンスのベンチマーク結果を公表することは,私たちのカスタマーにとって有益なことではない。なぜなら,SP1のコードはまだ開発途上にあるからだ。さらに,この種のテストはWindowsの機能のごく一部を計測するだけなので,Windowsを使って作業を行ったりアプリケーションを実行したりするユーザーの日々の体験をすべて表しているとはいえない」。

 Devil Mountain Softwareでディレクタを務めるRandall C. Kennedy氏は,この批判に強く反発した。彼は,自らのテストに対するWhite氏の説明を「明らかな見当違い」と呼び,White氏の批判は「Microsoftの上層部から命じられた誹謗中傷」であると述べたのである。OfficeBenchが行う数々のテストはWhite氏の言うようないい加減なものではないし,Devil Mountainのテストはシステム全体のパフォーマンスを示す優れた指標である,とKennedy氏は主張する。

Devil Mountain Software側の言い分

 「OfficeBenchは三つのアプリケーション(Microsoft Word,Microsoft Excel,Microsoft PowerPoint)を開いて,ドキュメントを読み込む。その後,ページをスクロールしたり,ドキュメントの書式に大きな変更を加えたりする」とKennedy氏は説明する。「OfficeBenchは,セクション・ヘッダーやサブヘッダーの書式変更,WordとExcelの間でのテキストの貼り付け,PowerPointでのマルチスライド・プレゼンテーションの作成,グローバル検索と置換,PowerPointでのPrintToFile(ファイルに印刷出力を送信する)の実行,IEを使ったWeb検索のシミュレーションなどを行う」。

 XP SP3がテストでVista SP1よりいい結果を出したというこのニュースは,Microsoftにとって都合の悪いときに報じられたのかもしれない。Vistaの成功談はよく耳にするが,企業によるVistaの導入はWindows XPに後れを取っている。さらに,独立系ハードウエア・メーカーと消費者はどちらも,新しいコンピュータでWindows XPを提供し続けるようにMicrosoftに圧力をかけているのだ。

Microsoft側の見解

 Microsoftの広報代表は,この話題に関してそれ以上のコメントはしなかったが,Microsoft MVPであるRobert McLaws氏のブログを読めばMicrosoftの見解についてもっと知ることができると述べた。

 SP1でパフォーマンスが向上する可能性だけを根拠にVistaへの移行計画を立てている企業にとって,アップグレードを行う理由はほとんどない,というのがMcLaws氏とKennedy氏の共通の見解だ。McLaws氏はVista SP1を擁護するブログ記事の中で,XP SP1の成功,そしてKennedy氏のテストで計測されなかったVista SP1の強化されたネットワーク機能を指摘した。「たしか,XP SP1を導入したからといって,パフォーマンスが大幅に向上することはなかったはずだ。XP SP1の目的は,XPの出荷前に修復しきれなかった問題を修復することだったから,それは当然である」とMcLaws氏は書いている。「Vista SP1もそれとほとんど同じだが,Windows Serverチームからも改善の成果を受け取ることができたという点で異なっている。ネットワーク機能が強化されているのはそのためだ」。

 多くのIT管理者にとって,パフォーマンスの向上が唯一の関心事ということはないはずだ。そして,Vista SP1はVistaの信頼性と機能性を向上させる重要なバグ・フィックス群をもたらすのである。「パフォーマンス問題を傍観している(そして,パフォーマンスを根拠にVistaへの移行を考えている)組織は,自分の欲するものを手に入れられないだろう。Vista SP1はいろいろな点で,XP SP3よりも動作が遅いからだ」とKennedy氏は話す。「Vista SP1が実際に提供するのは,互換性の向上と多数のバグ・フィックス,そして信頼性の向上だ。これらはユーザーに利益をもたらす重要な要素であり,一部の人々にとっては,Vistaに移行する十分な動機になり得るかもしれない。ただ単に,パフォーマンスの向上(Windows XPと比較して)はVista SP1の改善点に含まれていない,というだけのことなのだ」。