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 NTT東西は,まず東京と大阪の一部地域でサービスを開始し,2008年度中には提供エリアを政令指定都市に拡大。それと並行して県庁所在地への展開も始める。当初提供するサービスは,7kHzの「ひかり電話」やSD/HDクラスのテレビ電話,地上デジタル放送のIP再送信など一般ユーザー向けサービスが先行している。

 しかし,NGNによるQoS保証や回線認証などの機能は,「一般ユーザーよりもむしろ企業ユーザーの方がメリットを受けやすい」と,日本ヒューレット・パッカード(HP)通信・メディア営業統括本部ソリューション・マーケティング部の市川有宏担当部長は指摘する。

 企業ユーザー向けにサービスを提供する大手ITベンダー各社は,NGNが企業ネットワークにおける有力な選択肢になる可能性を,異口同音に強調する。例えば,既に企業が利用しているアプリケーションの利便性や品質を高める手段としてNGNの活用が可能という。

 ビデオ会議システムをNGN上で実現すると,映像と音声の品質が向上し,より快適な映像コミュニケーションを体験できるようになる。大容量のコンテンツを配信する際にも,回線混雑の影響を受けずにスムーズに配信できる。

 NTTのNGNフィールド・トライアルに参加したシスコの堤浩幸サービスプロバイダー営業マネージングディレクターは「当初は既存サービスの付加価値や利便性の向上からスタートするだろう」と見る。これら既存のアプリケーションをNGN上で動かすことで,品質や利便性向上などを確認できる。堤ディレクターは「NGNで具体的に何ができるのかが明確になればいっそう普及が進む」と期待する。

 既存アプリケーションで扱う映像や音声,データを安定したネットワーク環境で使いたいというニーズは確実にある。NGNはそうしたニーズに応える有力な手段となり得る。

柔軟な帯域利用へのニーズに対応する

 NGNが実装するQoS保証は,企業ユーザーが用途に合わせてネットワークの帯域を柔軟に制御可能にする潜在能力を持つ(図1)。

図1●企業ネットワークへの導入の検討が始まるNGN
図1●企業ネットワークへの導入の検討が始まるNGN
専用線とインターネットVPNの“いいとこ取り”の実現が期待される。
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 例えば,トラフィックが大量に発生する時間帯だけ帯域を確保して,トラフィック量が小さい時間帯には最小限の帯域だけを利用するといった使い方が考えられる。「必要な時だけ必要な帯域を使いたいというニーズは必ずある」と,NEC企業ソリューション企画本部の今井恵一エグゼクティブエキスパートは強調する。

 特定の帯域を確保したい場合,これまでは専用線を使うことが一般的だった。しかし専用線は高価で,限られた時間帯に大容量のデータを流すだけでも料金は変わらない。企業ユーザーが使いたいときだけ広帯域を確保しても,必要がないときは帯域を確保しないため料金が発生しないという仕組みが用意されれば,企業はネットワーク・コストを削減できる。

 富士通の川妻庸男経営執行役ネットワークサービス事業本部長は,「企業は安全性を徹底的に確保したい。その一方で,それに対してはあまりお金をかけたくないという思いがある」と,分析する。具体的には,災害に備えてストレージの大容量データをバックアップするような場面だ。ストレージのデータを短時間でバックアップするために広帯域を確保し,その時間分だけ帯域の使用料を払うという使い方である。

 さらに進んで,「ユーザー側で必要なときに必要な帯域を使えるようにコントロールすることができると,NGNが企業ユーザーに浸透していくきっかけになるのではないか」と,ガートナー ジャパンの田崎堅志テクノロジ&サービス・プロバイダー/コミュニケーションズバイスプレジデントは見る。