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Linuxを使いこなしたいけれど,使い慣れたWindowsとは操作方法が違うので思うように操作できない。この“壁”を取り払うのが,本コラムの目的です。Linuxやその上で動くソフトウエアを実際に使うために役立つ知識や操作方法を説明します。
今回は,UNIX文化を引き継ぐLinux固有の概念や決まりごとを紹介します。

 読者の多くが初めて利用したオペレーティング・システム(OS)は,米Microsoft社のWindowsではないでしょうか? Windowsは1980年代に設計され,基本的に1人で1台のコンピュータを利用することが前提になっています(シングル・ユーザー)。一方,UNIXが開発された1970年代は,1人で1台のコンピュータを利用することはかなりぜいたくなことでした。そのためUNIXは,複数のユーザーが同時に1台のコンピュータを共有することを前提に設計されています(マルチユーザー)。Linuxは,「UNIXのクローン(互換)」などと紹介されるように,UNIXと同じマルチユーザーを前提に設計されています。

 シングル・ユーザーに慣れたWindows利用者が,マルチユーザーを前提にしたLinuxを利用すると,戸惑うことや理解しにくいことが少なくありません。加えて,UNIXを発祥とする歴史的な経緯に由来する,論理的でない制約などもあります。

 今回は,Linuxを利用する上で,最初に知っておくべき概念や制約を紹介します。次回以降で,シェルやエディタ,日本語環境の使い方,ユーザー管理などを説明していきます。

スーパー・ユーザーと一般ユーザー

 UNIXでは,「複数のユーザーが同時に利用する」ことが前提であるため,他のユーザーに影響を与えるようなソフトウエアのインストール作業などは,管理者でなければできないようになっています。このように,「管理者」と「利用者」といったユーザーの明確な区別が,マルチユーザー・システムには存在します。

 Linuxでは,システム管理者を「スーパー・ユーザー」と呼びます。スーパー・ユーザーは,Linuxをインストールする時に,ユーザー名「root」(ルート)として登録されます。そのため,rootユーザーと呼ばれることもあります。

 一方の利用者は,スーパー・ユーザーと区別して「一般ユーザー」と呼ばれます。

 スーパー・ユーザーは原則として,一般ユーザーが実行できない次の操作ができます。


・Linuxの停止
・ネットワークの起動と停止
・他のユーザーが実行したプロセスの停止
・リムーバブル・メディアのマウント
・ファイルのフル・アクセス

 上記以外にも,同じコンピュータにログインする別のユーザーが影響を受けるような作業は,スーパー・ユーザーだけしかできません。

 スーパー・ユーザーは,Windowsで言えば,管理者用アカウント「administrator」(アドミニストレータ)に相当します。多くの場合,Administratorとrootは同等と考えてよいのですが,重要度が大きく異なります。

 Windowsでは,「ネットワークを起動する権限」「バックアップを行う権限」「システムのクロックを設定する権限」など,きめ細かな特権を各ユーザーごとに付与できます。そのため,用途によっては,Administratorでなくても必要な特権を付与されたユーザーなら,利用上困りません。

 一方Linuxでは,基本的にユーザーに付与する特権を細かく設定できません。すべての特権を持つスーパー・ユーザーか,特権を全く持たない一般ユーザーのどちらかです。そのため,Linuxの場合,スーパー・ユーザーは特別な役割を持った非常に重要なユーザーと言えます。

 現在では,1人でパソコンを独占的に利用できることから,すべての操作が可能なスーパー・ユーザーで普段から操作すれば良さそうに思えるかもしれません。しかし,すべての特権を持っているので,誤って操作してしまったときなど,システムに重大なダメージを与えてしまうことがあります。

 例えば,スーパー・ユーザーはシステム上の重要なものを含むすべてのファイルを消せます。コマンドの入力ミスで,誤ってシステム設定ファイルを消してしまうかもしれません。そのため,普段は必ず一般ユーザーで作業し,特権が必要な場合のみスーパー・ユーザー(rootユーザー)で作業する習慣を身に付けましょう。