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渡辺 道人氏 富士フイルムコンピューターシステム 代表取締役社長
写真●渡辺 道人氏 富士フイルムコンピューターシステム 代表取締役社長
 (写真:中島 正之)
 

 システム構築プロジェクトを成功させるには「上流工程でソリューションプロバイダと徹底的に議論する」という当たり前のことをきっちりとやること。これが、プロジェクトマネジメントで最も重要な点だと信じている。

 そのことを、2005~07年にかけて取り組んだ親会社(富士フイルム)向けの基幹システムの全面刷新プロジェクトで改めて感じた。利用部門の要望をシステム化計画や要件定義書に落とし込むのは我々の仕事だが、導入ノウハウを持たない新規システムの構策では頼りになるパートナーが必要。このプロジェクトでは、複数のITベンダーと業務システムの要件を二人三脚で固めた。

 私がパートナーであるITベンダーに理解を求めたのは、経営における新システム導入の狙いだ。我々だけでなくITベンダーもシステムを作る意義を知らなければ、プロジェクトは途中でおかしな方向に行ってしまう。システム構築プロジェクトにおけるビジョンをスタート時点で共有することは極めて重要だ。こうしておけば、業務要件やシステムの機能要件を決める段階で難航しても、初心に戻って事態を打開できる。基幹系刷新ではITベンダーとビジョンを共有できたこともあり、開発納期はほとんど遅れなかった。

 こうした環境を整えれば、甘くなりがちな要件固めにブレがなくなる。ありがちなITベンダーの御用聞きも減らせる。経営目的上、無意味なこととITベンダーの担当者が判断したら、利用部門に対して「仕様の変更は認めません」というケースもある。これがいいのだ。

 ITベンダーの担当者が、利用部門の担当者はもちろん上層部にも直談判できる関係を作り、一体となってプロジェクトを進めていく。“美しい”要件定義書を書くことよりも、当社と良いシステムを作るために粘り強く議論し、下流工程で使えるよう完成度の高いドキュメントをコツコツ仕上げていく泥臭さをITベンダーには期待している。

 ITベンダーがユーザー企業との結束力を養うためには、覇気のある社員を育てることが重要だと感じる。当社にも言えることだが、ITベンダーの営業担当者もエンジニアも最近元気がないように見えるのだ。

 社員のモチベーションを上げる方法として、先日あるITベンダーの営業担当者から面白い営業研修のやり方を耳にした。営業担当者と技術者数人で一つのグループを作り、他のITベンダーから参加したグループと提案合戦を行うというものだ。会社の代表としてライバル会社と仮想的な“他流試合”を重ねるうちに、「あの会社のチームと競争したい」と手を挙げる若手が出てくるなど、メンバーが積極的になってきたという。

 部下を成長させるには、外部からの刺激が欠かせない。外気に触れることで人間は自分のレベルを知り、成長の糧にしていくもの。そうした点でITベンダーと我々ユーザー企業が互いに刺激し合える環境作りを進めていけば、この業界がもっと活性化するはずだ。(談)