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日経コミュニケーション編集長の松本 敏明氏
日経コミュニケーション編集長の松本 敏明氏
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 「2008年は,とくにNGNとモバイルに注目してほしい」。日経コミュニケーション編集長の松本 敏明氏は2008年1月30日,「ITpro EXPO 2008 名物記者によるトレンド解説」でこう語った。講演のタイトルは「2008年の通信はこうなる!」。

 今年3月に,NTT東日本/西日本がNGNサービスを開始する。具体的なサービス内容はこれから徐々に明らかになってくるが,「まずNGNは企業向けネットワークが世代交代を始めるものととらえてほしい」(松本氏)と語る。いま企業の基幹網で使っている広域イーサネットやIP-VPNなどに,いずれNGNが取って代わる可能性があるという。

 NGNがもたらす大きなトレンドとして,SaaS(Software as a Service)を挙げる。「ネットワーク介してアプリケーションを利用できるようにするサービスがこれからさまざま登場してくる。ネットワーク経由のワンストップ型が大きな進化」(松本氏)とNGNが秘める可能性を説明する。

 では,ユーザー企業はNGNをどのようにとらえたらいいのか。松本氏は導入を急ぐ必要はない,「見守るというスタンスでよい」という見解を示した。そのうえで,「NGNには専用線やVPNにはない特徴がある」(松本氏)とNGNが持つ特徴を強調。帯域を柔軟に確保できることである。たとえば,夜間のバッチ処理のために帯域を確保したい,というニーズに容易に応えられる。

 一方,懸案となっているNGNに対する接続ルール,NGNのアクセス回線として使う光ファイバの接続料について「年内に制度がみえてくるだろう」(松本氏)と見通しを語った。総務省が,ネットの中立性,NGNを作るうえでプラットフォーム機能をどうするのか,消費者をどう保護するのか――について研究会を立ち上げて,年末くらいに結論を出す予定である。

モバイルは「定額」「高速」「固定との融合」がキーワード

 モバイルについて,松本氏は「定額」「高速」「固定との融合」がキーワードという。「とくに今年は携帯電話のサービスが花盛りになるのでは」とみる。今年は携帯電話をデータ通信に使うサービスがポイント。ひとつは定額化。昨年末にKDDIとNTTドコモの3Gの定額サービスを開始した。イー・モバイルに追随する形で,パソコンを携帯電話につなぐ使い方で,一定のパケット量まで月額数千円台の定額で使えるサービスである。

 高速化の重要性も訴えた。HSDPAという高速化技術があるが,これがさらに高速化している。3.6Mビット/秒から7.2Mビット/秒と,ADSL並みの速度になった。「最近のWebサイトはブロードバンド対応になっているのが多い。モバイルもこのくらいの速度が欲しい」(松本氏)。

 また,固定通信と融合したサービスとして「フェムトセル」が登場する。フェムトセルというのは,家庭やオフィスにおく小型の基地局である。携帯電話機からフェムトセルまでは無線であるが,フェムトセルからは固定のIP網を使って携帯電話網に接続する形である。フルに電波を飛ばすよりもコストを下げられる。

従来と異なる使い方が登場する

 これらの動きによって,「モバイルはこれまでと違った使い方が出てくると予想している」(松本氏)。ADSL並みの速度が家庭内,オフィス内にかかわらず使えるようになり,使い勝手が向上する。また,携帯電話機能をパソコンに内蔵する動きがある。データはサーバー側におき,クライアントのほうは軽くして持ち運ぶという使い方である。

 松本氏は,パソコンに携帯電話機能の内蔵することは単にカードがなくなるだけでなく,セキュリティを高めるという意味もあると指摘する。携帯電話には,紛失した場合に備え,内部の情報を操作できないようにする遠隔ロックなどという機能がある。それがパソコンでも使えるようになる。「ノート・パソコンを置き忘れてしまった」という場合に遠隔地からロックすることができる。ノート・パソコンを紛失してもセキュリティを確保できる。

 フェムトセルはコスト削減だけでなく利便性向上にもつながる。従来,1台の携帯電話機でオフィスや外で通話ができるようにするデュアル端末というものがあった。しかし,無線LANも内蔵した特別な携帯電話機が必要となり,機種が限られていた。通常の携帯電話を内線電話のように使える料金プランもあるが,これは企業のPBXとの連携が難しい。フェムトセルならば普通の端末が使え,PBXとの連携も容易である。

Androidのようなプラットフォームに期待

 「今年,携帯電話そのものが大きく変わる可能性もある」と松本氏は指摘する。Googleが昨年発表したAndroidのような新しいプラットフォームがそのきっかけと説明する。このようなものが普及すると,これまでのキャリヤやメーカーなどにより携帯電話の仕様などが固定的に決まっていたものが払拭され,新しいものが作りやすくなるとみているという。企業向けの専用携帯や機能と連動させたキャラクタ携帯,ブランド携帯など,よりカスタマイズしたものが使えるようになる。