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対談の写真
写真左が小尾所長、右が佐賀県の川島CIO。(写真:佐賀新聞社)

 佐賀県はIT(情報技術)業務の態勢が整っている自治体として「自治体ITガバナンスランキング」で4位(都道府県別では一位)となった。これを受け、早大電子政府・自治体研究所の小尾敏夫所長が県庁を訪れ、県のIT政策改革に取り組む川島宏一県CIO(最高情報統括監)と対談した。要旨を紹介する。(構成・村上 大祐=佐賀新聞社

* この対談は2008年2月13日の佐賀新聞に掲載された記事を転載したものです(タイトル、リンク設定など一部異なる部分あり)。


川島 県を挙げて情報化最先端県庁を目指しており、業務改革を総合的に担う部署を立ち上げた点が評価されたと思う。

小尾 IT予算を大幅に削減できれば、新事業を立ち上げて行政サービスが充実させることもできる。費用対効果を考えると高い報酬を払ってCIOを招く価値は十分ある。だが、専任のCIOを置く自治体は一割にも満たない。兼任では改革達成は無理。各自治体トップの決断がカギだ。

川島 CIOは制度としては5年目を迎えた。ITコストは当初の40%下がり、部署別のIT調達費などは限界まで削った。さらに削減するには県庁業務全体の再構築が必要。CIOが指揮をとり、各職場に改革の意義を伝えることが大事だ。

小尾 これからは部署別でなく業務全体で効率化を考える時代だ。

川島 地方財政は厳しく、県内の市町でもそれぞれ年間数千万から億単位というITコストは大きな負担。改革の必要性が共有されているので、今は取り組みやすい。

小尾 住民にオンラインを使った方が便利だという誘因が弱いという問題がある。

川島 2008年度末までに県内のブロードバンド接続率50%を目指しており、関連事業者と提携してネットの利便性の周知や研修などでスキルアップの支援をしていく。

小尾 日本は情報格差(デジタルディバイド)が緩やかだが、障害者や老人が恩恵を受けられなければならない。電子自治体構築の基準は彼らに合わせるべきだ。

川島 電子自治体は全員参加型社会の実現に必要な基本的インフラ。高齢化社会が進行する現在、高度情報化で社会のエネルギー効率を高めて現在の生産性を維持する必要がある。

小尾 情報改革について将来的な展望は。

川島 県庁の業務効率化、地域全体のITインフラ整備、地場IT産業の振興の三つを連関させながら取り組む。そのために、システムのオープン化や共同化などの環境整備も必要だ。

小尾 佐賀県は人口が少ないため(政策を)大都市に比べて浸透させやすいと思う。先端的なことに取り組んで、成功事例を作ってほしい。

川島 次世代無線通信「WiMax(ワイマックス)」の実証実験や行政、民間を問わず地域に必要なあらゆるサービスを一カ所で受けられる「情報ポータルサイト」の構築など、民間との共同研究を進めている。

小尾 電子自治体はコスト削減ももちろん、地域社会に貢献し、生活を守るものであるべきだ。

川島 幸い県内には地縁的共同体が実在している。(高度情報化は)それを補完し、住民同士の信頼関係を作ることができると思う。

小尾 行政が住民と密なコミュニケーションをとり、サービスやそのメリットを周知しないと。改革を進めていく上での部署の運営方法はどのように考えるか。

川島 スタッフには管理能力や広範な知識などが求められる。将来的には内部に専門的スタッフが必要となるため、人材育成を進めている。情報業務改革を通じて行政サービスの質を高める喜びを感じてもらうことでモチベーションを維持していきたい。

小尾 統一した電子自治体に関する法整備を求める声をあげ、取り組みやすい環境を整えることも大事だ。