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 新機種が発表されるごとに、多くの利用者が機種変更する携帯電話は毎年、膨大な端末が廃棄され、その数は600万台を上回る。基板には、金、銀、パラジウムなどの希少金属が含まれているため、回収システムは確立している。だが、液晶ディスプレー(LCD)についてはマテリアルリサイクルできないため、これまでは廃棄するしかなかった。

表●携帯電話の回収量の推移
表●携帯電話の回収量の推移

製造後3年内に限定動作確認で品質確保

 そのLCDをリユース(再使用)した電子機器が発売された。システム開発を手掛けるディーディーエル(北海道岩見沢市)が開発し、ソフトウエアの開発・販売の北都システム(札幌市)が販売するボードPC(脚注参照)だ。製品名は「ディビュウ」。名刺サイズの基板に、使用済み携帯電話から回収したLCDを搭載したもので、CPU(中央演算処理装置)やグラフィックプロセッサー(画像処理装置)が組み込まれており、この1台でプログラムを実行できる。

 現在、北都システムでは、スピーカーを組み込むなどして、製品の宣伝を映す店頭販促ツールや、博物館で展示物を説明する端末などへの利用を提案している。顧客のニーズに応じて、ソフトウエアを開発し、筐体に組み込んだ完成品として納入することにしている。2007年11月に商品化を発表して以来、1台2万~3万円程度と安価であることから、予想以上に反響があるという。

 ただ、リユース部品を採用する以上、製品の信頼性が気になる。北都システムの相沢肇本部長は「国内メーカー製で、製造後3年以内の携帯電話に限ってリユースし、回収業者が動作確認した上で出荷したものを使っている」と説明する。それでも、新品の液晶と同様の信頼性は望めないため、北都システムでは契約ごとに保証制度を充実させる予定だ。例えば、販売後数年間は販売台数の数%の在庫を確保して、仮に故障してもすぐに交換するなど、迅速に対応できる態勢をとったという。

名刺サイズの基板に、使用済み携帯電話のLCDを組み込んだ。単3乾電池で作動するため、店頭に設置し、販促ツールなどに使える
写真●名刺サイズの基板に、使用済み携帯電話のLCDを組み込んだ。単3乾電池で作動するため、店頭に設置し、販促ツールなどに使える
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 また、携帯電話のメーカーが個々の製品に異なるLCDを使っていては、同一のLCDを揃えるのは難しいように思える。この点について相沢本部長は「数万、十数万といった発注数には応じ切れないが、数百や千数百程度の数であれば、同じLCDを搭載した製品を提供できる」と、在庫の多さには自信を見せる。

 現行のボードPCには2.2インチのLCDを使っているが、テレビ機能も加味した最近の携帯電話では、3インチ以上のものも登場している。1~2年後には、より高性能で大型のLCDもリユースできるようになる。

 ただし、メールや写真を携帯電話内に残しているため、機種変更後も古い端末を手元に置く利用者が増え、回収数は減少をたどっている(グラフ)。回収率が落ちていけば、将来的にリユースLCDを調達しにくくなる恐れもある。