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 調査データは、常日頃見聞きしていたことや予感・予想に妥当性を与えたり、あるいは多様な視点から違うものを見せてくれたりする。だからこそ調査情報にはドラマがあるとも言えるのだが、おそらくこれから紹介するのもその一つだ。

 産業別のサービス売り上げを、ベンダーごとにランキングした初の国内調査であるからだ。IT専門調査会社のIDC Japanがベンダーをヒアリングし、2月初旬にまとめたもので、ベンダーごとに産業別に得手不得手、注力している分野をかいま見せてくれる。なお、ここでいう「サービス市場」は、企業ユーザーが外部へ支出したサービスの合計である。日本の場合、ベンダーのサービス売り上げの積み上げでは、重複が見られ実態を現さないという声があるからだ。

 2006年度、金融で最もサービス売り上げが多かったベンダーは日本IBM。伸び率ではNTTデータがリードした。金融の場合、1件当たりの金額規模が大きいアウトソーシングが順位を左右するといわれる。製造はNEC、富士通、日本IBMの順だが、売り上げの差はほとんどない。流通は、大規模から小規模小売りまでカバレッジが広い富士通が抜けて1位。NEC、日立製作所と続く。日立は予想外の健闘か。

 通信・メディアはキャリアに強いNECが1位。富士通、日本ヒューレット・パッカード(HP)の順。HPがサービス売り上げ上位3位に食い込んだ。政府・公共の富士通、NTTデータ、NECは順当。伸び率はNTTデータが高かった。その他産業は富士通が頭一つリード。IBM、日立と続く。全体では富士通がサービス売り上げ1兆円を超す唯一のベンダーとなった。NEC、日立、IBM、NTTデータと続く。NTTデータは約7000億円のサービス売り上げである。

 各ベンダーのサービス売り上げは、06年度(06年4月~07年3月)の連結実績。決算期が異なる日本IBMや日本HPは「06年度に換算し期間を合わせた」(IDC Japanの武井晶子アナリスト)。サービス収入の定義は少々手が込んでいる。(1)SIやアウトソーシングは純粋サービスのみでハードの売り上げを含まない。ただし、顧客のハード資産をベンダーが購入したITアウトソーシングは、ハードサービス収入が加わる、(2)BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は対象外、(3)サービスベンダーが親会社やグループ企業から得たサービス収入は除外する、などである。

表●国内ITサービス市場「産業別ベンダー競合分析」(上位3 社)
表●国内ITサービス市場「産業別ベンダー競合分析」(上位3 社)

 国内のIT市場でサービスがハードを初めて上回ったのは2006年。その年にサービスは3.7%成長し4兆8783億円となった。IDC Japanは、06年から2011年までのサービス市場は年率3.5%で緩やかに伸び続け、2011年には5兆7937億円規模になると観測する。

 産業別で06~2011年の年率平均3.5%の伸び率を下回るのは政府・公共とその他の産業の2産業。金融、製造、流通、通信・メディアの4産業は平均を上回る伸び率で成長する見込みだ。サービス市場規模で最も大きいその他の産業には、IT産業や運輸、教育、建築、医療などが含まれる。以下、市場規模は製造、金融、流通の順になる。

 サービス売り上げのランキングで10位以内の企業を見ると、野村総合研究所、東芝ソリューションズ、日本ユニシス、伊藤忠テクノソリューションズ、 CSKが入る。IT業界では、メーカー4社にNTTデータを加えた5強を「4+1」とやゆするが、改めて5社寡占を認識させる結果となったようである。