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 フェムトセルはNEC,フィンランドのノキアシーメンスネットワークスといった大手通信機器ベンダー,英ユビキシス,英ピコチップなどの新興企業が,実際に動く状態で展示をしていた。フェムトセルとは,家庭などに設置する小型の基地局のこと。ADSLやFTTHなどのブロードバンド回線を使って,携帯電話事業者の網につなぐシステムを実現できる。

 家庭内や飲食店などにある電波の不感地帯を減らしたり,従来屋外の基地局に流れていたトラフィックをブロードバンド回線に流すことで,バックホールのネットワークの負荷を減らせる。エンド・ユーザーとしては,通信/通話料金の低下を期待できる。

 多くの企業がフェムトセル経由で普通の発着信ができる点を強調する中,興味深い展示が3個所であった。第1がピコチップのブース。“ソフトバンク仕様”のフェムトセル・リファレンスボードを展示した。第2と第3がユビキシスとNECである。両社ともフェムトセルを介した映像サーバーと携帯電話の連携を実演した。

“ソフトバンク仕様”のフェムトセル

 ピコチップのルパート・ベインズ マケーティング部長が「ソフトバンクの仕様に沿ったもの」と明言するフェムトセルは,ADSL2+ポートと,4ポートの有線ハブ,無線LAN,HSPA(high speed packet access)の無線機能を搭載する(写真1)。ソフトバンク・グループはかねてからADSLや無線LAN,VoIPを搭載したYahoo! BBのトリオモデムに,W-CDMAやHSPAの機能を追加したいとしており,これをそのまま体現する形になっている。

写真1●英ピコチップの“ソフトバンク仕様”フェムトセル
写真1●英ピコチップの“ソフトバンク仕様”フェムトセル
右側に4ポートのハブやADSL用の電話ジャックが見える。

 会場では実際に2台の携帯電話がVoIPを介してつながる様子が実演され,完成度の高さをアピールしていた。

携帯電話で「ロケーション・フリー」

 ユビキシスが見せていたのは,LANにつながったハードディスク・レコーダにフェムトセル経由で携帯電話からアクセスし,映像を楽しむというもの(写真2)。例えば,「居間にあるハードディスク・レコーダに寝室のベッドの上からアクセスして,映像を楽しむといった使い方ができる」(ユビキシスの説明員)。

写真2●英ユビキシスのデモ環境
写真2●英ユビキシスのデモ環境
左のハードディスク・レコーダの内容を中央右の携帯電話で再生していた。
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 通信は通信事業者の網には一切出ることなく,家庭内で完結する。これを実現するために,携帯電話からの通信を一度フェムトセルで終端し,LAN内にアクセスさせる機構を搭載したという。

 ハードディスク・レコーダには一般にMPEG-2形式でデータが保存されているが,携帯電話はMPEG-2を再生する機能を持たない場合が多い。そのため,ハードディスク・レコーダ内の映像を携帯電話で映像を再生する際にはコーデックの変換(トランス・コーディング)が必要だ。「今回のデモでは, RealPlayerのファイル形式にあらかじめ変換して格納しておいた」(同)という。ただし,「最近のハードディスク・レコーダは非常に処理性能が高い。リアルタイムに変換させる機能を持たせることはそれほど難しくない」(同)と見ている。

 NECは映像サーバーが家庭内ではなく,インターネット上にあると見立ててデモを行っていた。「携帯電話のネットワークを経由せずに直接インターネットと通信できる仕組みで,携帯電話事業者の網に負荷を与えないで済む」(説明員)。このシステムは,ユビキシスのものとほぼ同様で,携帯電話の通信をフェムトセルが終端し,インターネットに代理でアクセスする。