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写真1●みずほ情報総研の山本剛史グローバルデリバリー推進室長
写真1●みずほ情報総研の山本剛史グローバルデリバリー推進室長
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 グローバル・ソーシングの波は、最高レベルの品質が求められるメガバンクの勘定系システムにまで広がっている。みずほグループが2007年10月から、みずほ銀行(BK)とみずほコーポレート銀行(CB)の勘定系システムを対象に、保守作業を中国・大連に移管するプロジェクトをスタートさせたのだ。

 委託先は、瀋陽に本社を構える中国最大手の東軟集団(NEUSOFT)。BKとCBの勘定系を手がけるみずほ情報総研が主体となって、保守の移管を進めている。

 みずほ情報総研は現在、合計6500人の体制で勘定系の保守をこなしている。6500人の内訳は、自社の技術者1500人と国内ベンダー120社の技術者5000人である。この業務を少しずつ中国に発注していく考えだ。

 みずほ情報総研の山本剛史 グローバルデリバリー推進室長は、「保守に追われる国内要員を新規案件にシフトしたい」と話す(写真1)。新規案件の投資意欲が旺盛なBKとCBのニーズに応えるには、国内要員だけでは限界があると判断した。

プロセス構築にインド人を活用

 パートナーは、日本語で仕事を進めることを前提に中国ベンダーを選んだ。中国ベンダーの中でも東軟に決めたのは、「最大手であることや、日本向けの案件を手がけた実績が豊富であることを評価した」(山本室長)からだ。とはいえ、東軟はインドの大手ベンダーほどは、グローバル・ソーシングの受注経験がない。みずほ情報総研にもグローバル・ソーシングのノウハウはない。

 そこで、みずほ情報総研は、インド・ベンダーのサティヤム・コンピュータ・サービスから、グローバル・ソーシングのプロセス構築のコンサルティングを受けることにした。2007年夏のことである。

 サティヤムからは、発注範囲や役割分担の明確化はもちろん、仕事の成果を定量的にチェックする手段の確立や、問題発生時のエスカレーション・パス、トップ同士の会議体などに関して指摘を受けた。「増員を要求したら、いつまでに実行するかを契約で明確にするべき、といった具体的なアドバイスをもらえた」(山本室長)という。

 業務プロセス、仕様書、責任の所在、契約など、日本のユーザー企業と日の丸ベンダーとの間では、曖昧なままになることが多い事柄を1つずつ明確にすることが、グローバル・ソーシングには求められるのだ。

現地の技術者を自分たちで育てる

写真2●中国・大連にある東軟集団の開発拠点を視察する山本室長(後方左から2人目)と東軟の技術者たち
写真2●中国・大連にある東軟集団の開発拠点を視察する山本室長(後方左から2人目)と東軟の技術者たち
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写真3●東軟集団の関鵬 金融事業部副総経理
写真3●東軟集団の関鵬 金融事業部副総経理
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 現時点で、東軟のみずほ向けチームは50人程度。勘定系システムの規模からすれば、まだまだ小規模だ。山本室長は「東軟任せにするのではなく、自ら現地の技術者を育成しながら、発注量を少しずつ増やしていきたい」と話す。

 例えば、中国・大連にある東軟の開発拠点に日本から技術者を派遣し、現地で勘定系システムの開発標準を教え込む。逆に、大連から中国人技術者を日本に呼び寄せ、日本の銀行業務などの研修を施す。山本室長自身も大連に出向いて、現地の視察や幹部とのコミュニケーションを欠かさない(写真2)。

 東軟の関鵬 金融事業部 副総経理は、「みずほ情報総研との関係を深めていきたい」と意気込む(写真3)。みずほと東軟の共同プロジェクトは、始まったばかりだ。



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